コンセプト作りに成功した
「熱さまシート」

 新製品開発においては、その「コンセプト」も「わかりやすい」ものでなければなりません。では、「わかりやすいコンセプト」とは何かといえば、簡略にいえば、「ああ、そうなのか。そんな商品内容なら欲しいな。使ってみたいな」とお客さまに思ってもらえるものであればいいのです。

 例えば当社には「熱さまシート」というヒット商品があります。お子さんの発熱時に、急いでタオルを冷たい水で濡らし、絞り、おでこにあててみたが、お子さんが寝返りをうつたびに、タオルがズレ落ちてしまう。次第にタオルの温度も上がってしまうので、また冷やしにいく。「困ったな。どうしようか。もっとよい方法はないものか。便利なものはないものか――」。

 このように考え、困り、悩まれる親御さんの優しい心、気持ちに寄り添い、そのお悩みを解決するために開発したのが「熱さまシート」なのです。そしてその製品コンセプトはというと、「そのまますぐ使え、ピッタリ固定できる冷却ジェルシート」でした。

 お客さまがすぐによく理解できるコンセプトづくりと新製品開発に成功した一例だと思っています。

日々の仕事のなかでも
「わかりやすさ」を

「わかりやすいネーミング」「わかりやすいパッケージ」「わかりやすい広告」「わかりやすい販促活動」、そして「わかりやすいコンセプト」――。

 マーケティングのすべてにおいて「わかりやすさ」を貫くには、普段の仕事のなかでも、さまざまな仕掛けを用意する必要があります。

 プレゼンテーションではよく、パワーポイントで作成したグラフやデータをスクリーンに映して説明します。このとき、レーザーポインターを使われると、私はイライラします。というのも、話しながら指す人はたいてい緊張しており、ポインターが左右に揺れてしまい、指す位置が一点に固定せず、どこを指しているかがわかりづらくなる場合があるからです。

 聞き手への「わかりやすさ」を心がけるなら、原始的な「指し棒」のほうがアナログ的であっても、よい場合もあるのです。「わかりやすさ」とはすなわち受け手が決めるものなのです。

 ですから、例えば当社では年に二回、小売店や代理店などのお得意先の方々をお招きして新商品の商談会を行うのですが、そのさい、社員は全員、ハッピを着て、接客をすることを決まりにしています。