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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

おカネが溢れていても人口がちっとも増えない!?
日本一の金満自治体、愛知県飛島村が抱える悩み

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第64回】 2013年3月5日
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のどかな田園地帯と工業地帯が併存
日本一の金持ち自治体、愛知県飛島村

前回、真冬の夕張市を取材していて、別の自治体のことが頭に浮かんできた。東海地方のある小さな村。日本で一番、財政的に恵まれた金持ち自治体として知られる愛知県飛島村だ。

 これまで何度か飛島村に足を運んでおり、昨年夏にも村の目玉施策として新設された小中一貫校を取材したばかりだった。

 名古屋市に隣接する愛知県飛島村は、人口約4500人。面積が約22.53平方キロメートルしかない小規模な自治体だ。海に面し、村のほとんどが海抜ゼロメートル以下である。

 しかし、小粒な飛島村は眩いばかりの存在感を放っている。村の南部は名古屋港の一角を占め、日本でも有数の港湾流通拠点となっている。コンテナ埠頭が整備され、木材関連や鉄鋼、航空機産業、さらには火力発電所といった各種事業所が集積する。狭い村内に一大臨海工業地帯を抱えているのである。

 その一方、村の北部にはのどかな田園風景が広がる。飛島村はもともと江戸時代に干拓によって開発され、純農村地帯として発展してきた。現在もコメや麦、ねぎ、ホウレンソウ、花卉などの栽培が盛んに行われている。

 地域全体の経済力は、自治体財政に大きな影響を及ぼす。地域経済が低迷すれば自治体財政は窮乏し、好調になれば自治体の懐も潤う。両者は当然のことながら、不可分の関係にある(あくまでも歳入面での話)。工業と農業、さらには物流拠点として発展する飛島村。その財政力は驚異的なレベルになっている。

 飛島村の税収は約38億1000万円(2010年度決算・以下同)で、うち76%が固定資産税である。村内に集積する事業所からの納税がその主軸となっている。村の基準財政収入額が約31億6416万円なのに対し、基準財政需要額は約14億2072万円。

 このため、村の財政力指数は2.55(3ヵ年平均)に達し、全国で最上位。それも2位の茨城県東海村(1.69)に大きく水をあけ、ダントツなのである。つまり、飛島村は日本一の金満自治体で、しかも日本で唯一、財政力指数が2を超える超リッチな自治体である。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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