このように、ここ1~2年で「契約結婚」をはじめとする、さまざまなバリエーションの“結婚”が描かれている。

 近年のドラマの中で「契約結婚」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、やはり「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系、16年)だろう。森山みくり(新垣結衣)と津崎平匡(星野源)による男女関係の新しいカタチを提示し、なおかつ視聴者からの大きな支持を獲得した。いまだ語り継がれる大ヒットドラマだ。また同年、韓国ドラマでは「結婚契約」という作品が人気を博したという。

平成ドラマが描いたドラマチックな結婚

 その昔からテレビドラマにおいて「結婚」は、ドラマを盛り上げる重要なテーマとして機能してきた。

 さえない中年男(武田鉄矢)と美人チェロ奏者(浅野温子)が結ばれるまでをとことんドラマチックに描いた「101回目のプロポーズ」(フジテレビ系、91年)をはじめ、松たか子とユースケ・サンタマリアの「お見合い結婚」(フジテレビ系、00年)、竹野内豊と広末涼子の「できちゃった結婚」(フジテレビ系、01年)など、それぞれの名シーンと共に記憶に残っている人も多いことだろう。

 こうしてみると、総じて20年ほど前、だいたい平成の半ばくらいまでは、まだ「結婚」は純然たるゴールでありつつ、時にはぶつかり合うも互いに認め合い、相手の価値観を受け入れようと努める男女の姿が主題として、また尊いものとして描かれていたように感じる。