「価格への補助」は
もうやめた方がいい

 政府にやる気がないトリガー条項の凍結解除も含めて、現在および目下検討中の「ぐずぐず補助金」も、広い意味では、ガソリン価格を引き下げるための補助金の性質を持つ。そして、この補助の適切性には大いに疑問がある。

 まず、資源配分の効率性と価格メカニズムの観点で考えると、原油をはじめとする諸コストが上昇して価格が上がっているのなら、消費者はまずガソリン使用の抑制を考えるべきだ。

 世界的に資源価格が上がっている時に、資源の相対的な希少性が増しているのだと考えることは自然だ。

 加えて、地球環境に対する配慮の観点から化石燃料の使用抑制がかねて求められていた。

 つまり、ガソリンや電気料金の値上げに対して、国民はそれぞれの立場から、ガソリン消費の抑制や節電を考えることが経済合理的であり、近年の社会運動にも合致する方向性なのだ。補助金を使って価格をゆがめることは、経済政策として適切ではない。

 とはいえ、ガソリンを多く使うビジネスで急には消費量を減らせない業者や、同じくガソリンの使用を減らすことが短期的には難しい生活困窮者がいるはずだ。彼らに対しては何らかの所得補助措置を考えるべきだろう。もちろん、所得の補助を受けた業者や生活者も、ガソリンの使用抑制に工夫すべきではある。そして、「急には対応できない」というユーザーのために、トリガー条項が存在していることは前述の通りだ。