こんなことある?株価暴落、業績予想ダウン企業の信じられない「言いわけ」とはモンスターラボによる適時開示資料

東証グロース市場に今春上場したばかりのITコンサルティング企業・モンスターラボホールディングスが、2023年12月期の通期業績予想を大幅に下方修正した。上場1年目の企業が目標を達成できないケースは珍しい。上場時に1075円だった株価は、8月末時点で約3分の1に減少している。不振の理由を探るべく決算資料を読み解いていくと、他社では聞いたことがないような理由が記されていた――。(森経営コンサルティング代表取締役 森 泰一郎)

投資家期待のDXコンサルが
まさかの「上場直後の下方修正」

 デジタルコンサルティング事業を提供するモンスターラボホールディングス(以下モンスターラボ)の業績下方修正が市場を驚かせている。

 それもそのはず。モンスターラボは2023年3月28日に東証グロース市場に上場したばかり。投資家から注目銘柄として期待されていたのだ。だが、上場から5カ月もたたない8月14日に、23年12月期の通期業績予想を大幅に下方修正すると発表した。

 具体的には、売上収益を従来予想から31.7億円下方修正し、142.7億円(前期実績からほぼ横ばい)とした。

 営業損益は同じく27.2億円下方修正し、12.6億円の赤字予想(前期は3.9億円の赤字)とした。最終損益は18.5億円下方修正し、9.7億円の赤字(前期は6.7億円の赤字)を見込んでいる。

 本来ならば成長性を期待される東証グロース市場に上場したにもかかわらず、公表された修正後の利益面は、上場直前期よりもかなり悪化する模様だ。
 

こんなことある?株価暴落、業績予想ダウン企業の信じられない「言いわけ」とはモンスターラボの公式サイト

 ちなみに、上場1年目の企業が公表した目標値を達成できないケースはレアである。しかも、上場後すぐの下方修正はなおさら珍しい。

 なぜなら、上場審査では企業の予実管理が徹底して行われるからだ。業績目標と実績の管理がきちんとできている企業なのかどうか、今後公表する業績予想が大きく下回ることはないかどうか、という視点から厳しく見られる。

 その上で、初年度に公表する業績予想は、比較的コンサバティブで達成可能なものになりがちだ。そのため、上場1年目の企業は目標値を達成しやすい。

こんなことある?株価暴落、業績予想ダウン企業の信じられない「言いわけ」とはモンスターラボの上半期業績。営業赤字に沈んでいる

 似たような失敗例では、モバイルゲームを開発するgumiが14年12月に上場後、2カ月半で業績を下方修正。「gumiショック」と言われたほど話題になったが、それ以来のまれな事態である。

 したがって、モンスターラボによる上場後5カ月弱での大幅な業績下方修正に市場は驚きを隠せなかった。上場初日に1075円だった株価は、本稿執筆時点の8月31日現在で322円(いずれも終値)と、実に3分の1以下になっている。

 その要因は何だったのか。決算資料を読み解いていくと、他社では聞いたことがないような理由が記されていた――。