DCTを行えば
治験参加者の負担も大幅に減る

 DCTは具体的には、このような手順で進められる。

「例えば、がん患者さんの場合、標準的な治療を施したものの効果が見られない場合に、主治医から治験を紹介されることがあります。他に治療法がない患者さんにとって、治験に参加することは、ある意味で治療の選択肢の一つになり得るのです」

 患者が参加を希望すると、治験を実施している遠方の病院にいる治験コーディネーターから、オンラインで詳細な説明を受ける。参加した際のリスク等も十分に吟味した上で、参加を希望すれば、同意書にWeb上で電子サイン。治験参加の要件を満たすかどうか確認するため、事前の検査を受けることになる。

 薬が自宅へ郵送される場合は、それを自身で服用。必要な血圧測定や採血、採尿などは看護師が自宅を訪問して行う場合もある。X線検査をする場合は、連携している地元の病院で行う。もちろんケースによっては、遠方の病院で何週間か入院することもあるという。いずれにしても、これまでに比べて患者の負担はかなり軽減される。

「治験が終了すると、患者さんのデータを取りまとめ、お薬が効いているのか、副作用に大きな問題がなかったのか分析します。その結果を、国の承認機関(PMDA:医薬品医療機器総合機構)が確認し、審査を経て承認されれば、新しいお薬を世に届けることができるのです」

 従来の治験に比べて期間が短くなり、患者への負担が軽減されるDCT。より多くの病院が対応できるようになれば、新薬開発のスピードアップが可能になると期待されている。