「入社半年で辞める新人」になりそうな人こそ“成長のチャンス”である理由2023年度の新入社員も入社してそろそろ半年。不満・不足・不備・不公平・不自由を感じるころです(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新入社員が入社して、約半年。9月、10月は新人のフォローアップ研修のシーズンでもあります。少しずつ周囲が見えてきて、仕事に対する不満や不公平感などを抱えている新人もいると思いますが、「ポジティブシンキングが大切!」などと言われがちな昨今、ネガティブな感情を口にすることがはばかられるような環境の会社も多いのではないでしょうか。しかし、ネガティブな感情こそ、若手にとっては成長の機会なのです。不満を成長に変えるために、周囲はどう接したらよいのでしょうか?(カスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役・代表講師、産業カウンセラー 片桐あい)

入社半年、新人の心にうず巻く「“不”の感情」

 2023年度の新入社員も入社してそろそろ半年。自分の置かれた環境や日々の業務に、少しずつ慣れてきた頃ではないでしょうか。その一方、うまく言い表せないけれど何となくモヤモヤして過ごしているという人もいるかもしれません。

「社会人になるって、こういうことだったんだろうか」「そもそも、何のために働いているんだろう?」「これが本当に自分のやりたかったことなのか?」「先輩の仕事ぶりを見ていると、あまりに忙しそう。自分もあんなに忙しく働くことになるのかな……」「他の部署で活躍している同期を見ると焦る」などなど、いろいろな「“不”(負)の感情」がうず巻いているかもしれません。

 それは、不満・不足・不備・不公平・不自由などを感じる感情です。しかし、自分の感情を言語化することに慣れておらず、この“不”の状態をどう解消したらいいか分からずにモヤモヤするのです。そこに、ちょっとした失敗や受け入れ難い何かがあると、ネガティブなスパイラルに入りがち。誰かに相談することなく退職を決めたり、会社に来なくなったりするなど、不幸な出来事につながることもあります。