マツダスピリットレーシングのピットで、もてぎ5時間レース決勝後、チーム全員を祝福する毛籠勝弘CEOマツダスピリットレーシングのピットで、もてぎ5時間レース決勝後、チーム全員を祝福する毛籠勝弘CEO Photo by Kenji Momota

マツダは2023年6月、クロスオーバーSUV「MX-30 Rotary-EV」向けにロータリーエンジン量産を復活させた。また、モータースポーツでは欧州で普及が進むバイオ燃料「HVO」の利用を開始し24年に量産化を目指す。マツダのマルチソリューションの行方を各現場から探った。(ジャーナリスト 桃田健史)

勝負できるマシンに進化
強まる社内一体感

 ENEOSスーパー耐久シリーズ2023第5戦「もてぎスーパー耐久5時間レース」の決勝。

 マツダスピリットレーシングのピットでは、マツダ本社関係者を含むチームスタッフ全員が固唾をのんでゼッケン55号車「MAZDA3 Bio concept」の行方を追っている。

 ファイナルラップ、コースサイドのフェンスにチームの主要メンバーが駆け寄る。

 その中でも、最も身を乗り出して祝福していたのが、23年6月にマツダ代表取締役社長兼CEOに就任した毛籠勝弘氏だ。

「クルマ1台分の差だったね」と、スバル「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」との接戦を制したことに笑顔を見せる。

 マツダのマシンが、ついに「戦える力」を発揮したことを毛籠CEOを含めたチーム全員が実感した瞬間であった。