ここでも、正しい知識の重要性が浮き彫りになりました。大事なのは寝る時間帯ではないのだ、ということはぜひ、覚えておいてください。

“幸せホルモン”と
相性抜群なリズム

 より直接的にメンタルを安定させてくれる自信ホルモンが、セロトニンです。

 セロトニンには脳の活動を活発にする働きや、精神を安定させて幸福感を与える働きがあります。そのため、別名“幸せホルモン”とも呼ばれることも。

 分泌のきっかけは、日光を浴びること。しかし、セロトニンの大敵は、日常的に受けるストレスです。ストレスによりセロトニンの分泌量が低下し、働きが弱まってしまいます。セロトニンの分泌が低下すると、物事に対するやる気や意欲が低下したり、うつや不眠症を引き起こすリスクが高まったりする他、不安が強くなったり、イライラしたりすることが知られています。

 セロトニンの分泌は10代がピークで、加齢により減少。残念ながら、年を重ねるというのは、それだけストレスの影響を受けやすくなるということなのです。

 ちなみに、女性ホルモンはセロトニンを活性化するため、逆に、いわゆる更年期障害で女性ホルモンが減少すると、セロトニンの機能まで低下してしまい、さらにイライラする負のスパイラルに陥ってしまいます。

 ここで、セロトニンの分泌を促進するのが運動というわけです。

 セロトニンを分泌させる場合に特徴的なのが、「一定のリズムで筋肉の伸収縮を繰り返す」と分泌量が増加すること。筋トレだけでなく、有酸素運動でも、一定のペースでウォーキング、ジョギング、バイクを漕ぐ、ダンスするなどもOK。極端な話、一定のリズムでガムを噛むだけでいいと勧める医師もいるほどです。

 セロトニンの分泌は、運動を始めてから20~30分でピークに達し、それ以降は低下することがわかっています。そのため、疲れ果てるほどの運動や、苦手だと感じる運動は逆効果。ホルモンがメンタルに関係する以上、メンタルもホルモンに関係します。ポジティブな気持ちで運動に取り組むというのは、バカにできない効果があるのです。

 運動をするタイミングは日中、場所は屋外がおすすめです。というのは、分泌のきっかけが日光を浴びることだからです。ちなみに、このとき、リズム運動は大勢で行った方が、セロトニンの分泌が多くなったという報告もあります。

 加えて、セロトニンはよい睡眠を促すメラトニンというホルモンを作る材料。日中に運動をして、セロトニンを多く分泌させることは、質の高い睡眠にもつながります。