「娘が詐欺集団に内定した」母のデタラメ・猛圧力で就職内定を辞退

 眉根さんが母親の過干渉で一生許せないと思う出来事の2つめは、大学時代の就職活動の時期に起こった。

 眉根さん自身が努力して勝ち取った内定を、社長が30代という理由だけで母親は猛反対。しかも、母親一人の反対なら押し切ることもできたが、母親は母方の親戚中に、「あの子が内定を得た会社は社長が若いから詐欺集団」「あの子は若い社長の尻を追っかけ回している」とでたらめな情報を吹聴して回ったのだ。

「当時の私は、母を説得することも身元保証人を用意することもできず、母と親戚の圧力に負けました」

 やむを得ず眉根さんは内定を辞退。それでも母親は満足できないのか、「まだ30代で経営なんておかしい!普通は会社で下っ端でしょ?世の中甘く見ている!」「高卒のくせに大学卒業予定の子を雇うなんてどの口が言えるんだ?」「架空請求やオレオレ詐欺でもやってるんだ。そのうち捕まる!」などと毎日のように悪口を言い続けた。

「母はその会社について調べたわけでも評判を聞いたわけでもありません。資料を見ただけで勝手に思い込んだのです。数日後、特殊詐欺のアジトが摘発されたというニュースを目にすると、母はもの凄く喜んで、『見な!あの社長が捕まったよ!お母さんの言う通りだったでしょ!』と得意げに言いました。もちろんその逮捕者は社長ではありません。別人であることを知ると母は、『あの社長の裏の顔を突き止める!内定辞退させたことを感謝させてやるからね!』と言いました」

「突き止めると言ってもやっぱり自分で調べたり探偵を雇うわけでもなく、ニュースをただ待つだけ。そもそもその社長の名前も社名も知らないのに、自分を正当化することに必死になっていて不快でした」

 結局、眉根さんは母親が許可した大手通信会社に営業として入社したが、執拗な勧誘電話をさせられたため3カ月で退職。

 すると母親は、眉根さんがまともに働くことができない人間だと思って見切りをつけたのか、就職に関する干渉がぱったりと止んだ。その後眉根さんは派遣社員となり、歯列矯正の治療費を稼ぐためにがむしゃらに働いた。

「幸い、歯並びは3年ほどで無事に治りましたが、幼少期に治療を受けていればこんなに長年悩むこともなかったと思うと、損をしたような気分になりました」

 無事に治った眉根さんの歯並びを見て母親は、「口を閉じれば歯なんか隠れるのにお金を無駄にして!」「今まで反対して来た時間が無駄になった!」「その歳まで我慢したなら一生我慢するのが常識でしょ!」と不満を爆発。

「私の家はそこまで懐事情が厳しいわけでもなく、スーパーなどで値引き商品を選ぼうとすると、『貧乏臭く見えるからダメ』。就活のときも、『新卒で中小企業や無名の会社に入るくらいなら、働かないで公務員浪人しろ!』という具合でした」

「母は長年反対し続けた歯列矯正を私が実行したため、精神的苦痛を受けたと言いましたが、結局のところ母は、何もできないとみなした私を守ると称して、あれこれ言いがかりをつけて支配しないと気が済まなかったのだと思います」

 24歳になった眉根さんは、仕事で知り合った同じ歳の男性と同棲をするために上京。両家顔合わせの上の同棲だったせいか、母親は反対しなかった。