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日本を元気にする経営学教室III

短期間で企業文化の変革に
成果を上げたあるブラジル企業
――ヘイグループ プリンシパル 滝波純一

カルチャー・トランスフォーメーション(4)

滝波純一 [ヘイ コンサルティング グループ プリンシパル],松尾博文 [神戸大学大学院経営学研究科教授]
【第6回】 2013年3月11日
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 最終回に当たる今回は、新興国のある企業のカルチャー・トランスフォーメーションの取り組みを紹介したい。この企業は1970年代にブラジルで創業し、今やグローバルに事業展開する売上数千億円規模、従業員もブラジルだけで1万5000人以上という小売業である。

 まず下の絵を見ていただきたい。これは、ブラジルのある企業のマネージャーが描いた「自社の企業文化」である。

 この図を見て、どのような企業文化の会社だと思われるだろうか?

 コミュニケーションは非常に階層的・硬直的で、管理職は男性中心になっている。一番上に描かれているCEOは非常に満足した様子に見えるが、彼が何を言っているのかは、他の社員には全く理解されていない。幹部やマネージャーたちは、口にテープが貼られている。自ら意見することができないのであろうか。また、組織の下の階層に行けばいくほどクエスチョンマークが多くなり、髪の毛まで無くなっている。よりストレスが大きいということであろう。

 この企業の業績がどうであったかは、推して知るべしである。マーケットシェアは下降の一途をたどり、株価も低迷。かつて急成長を遂げ、市場のリーダー的存在であった同社は、大きな危機に立たされていた。

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滝波純一 [ヘイ コンサルティング グループ プリンシパル]

たきなみ じゅんいち/京都大学工学部卒業、同大学院応用システム科学修士、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)経営学修士(MBA)。東レ株式会社、ボストン コンサルティング グループを経て、2009年より現職。2010年より同社コンサルティング部門責任者。医薬品、消費財、流通、情報通信等の幅広い業界に対し、グローバル人事制度構築、リーダー育成、M&A支援等、幅広いコンサルティングを実施。

松尾博文 [神戸大学大学院経営学研究科教授]

まつお・ひろふみ
京都大学工学部数理工学科卒業。1984年米マサチュ-セッツ工科大学大学院経営学研究科博士課程修了。米ペンシルバニア大学経営大学院客員準教授、米テキサス大学オースティン校経営大学院教授(Fred H. Moore Professorship)、筑波大学社会工学系教授を経て、2004年から神戸大学大学院経営学研究科教授。専攻はオペレーション・マネジメントとサプライチェーン・マネジメント。国際的学術雑誌の論文多数、編集委員を歴任。現在、日本オペレーションズ・マネジメント&ストラテジー学会会長。


日本を元気にする経営学教室III

【シリーズ「オペマネの思考法」/松尾博文】
オペレーションズ・マネジメント(オペマネ)は欧米のビジネススクールでは必須科目である。オペマネは、製造業とサービス業の事業プロセスを対象とする学問体系で、企業と組織の事業プロセスを中心に、製品、顧客、マーケティング、経営、戦略を考える科目である。本シリーズでは、オペマネの基本的な思考法を解説し、日本の製造業が陥っている問題点の解決策を、事業プロセスの見直しというオペマネの方法論から議論する。簡単な事例、極端な事例、理論と実践を取り混ぜて、論理的に考えるための糧(Food for thought)を提供することを目指す。

 

【シリーズ「カルチャー・トランスフォーメーション」/滝波純一】
企業文化は経営そのものである」というのは、1990年代に瀕死のIBMをよみがえらせたルイス・ガースナーの言葉である。多くの経営者は企業文化が業績に及ぼす影響がいかに大きいか知っている。一方で、企業文化を変革することが、いかに難しいかも、多くの人の知るところである。近年、人事・組織の領域では、日本よりも、海外の方が一歩進んでいると言わざるを得ないのだが、海外では「カルチャー・トランスフォーメーション」として、多くの企業が企業文化の変革に取り組んでおり、そこから有効な方法論も見出されつつある。事業環境が激変する中、日本企業にとっても企業文化の変革は喫緊の課題であり、海外での取組・確立されつつある方法論から学ぶべき点が多いのではないだろうか。本連載では、「カルチャー・トランスフォーメーション」について、紹介していきたい。

 

「日本を元気にする経営学教室III」

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