ジム・ロジャーズ 「米経済に最悪相場がやってくる」#2

高い金利水準でも堅調な米国経済。だが、世界三大投資家と称される著名投資家のジム・ロジャーズ氏は「今年か来年、米国に私の今までの人生で最悪の弱気相場が到来する」という。「それでも最近買った株」、「売った株」、「あえて売らない株」、「絶対に買わない株」を、国際ジャーナリストの大野和基氏が直撃した。(投資家 ジム・ロジャーズ 取材・構成/国際ジャーナリスト 大野和基)

おそらく来年、
米国に最悪の弱気相場が到来する

 私は今、米ドルをたくさん持っています。なぜかと言えば、今年か来年には、金融市場で何か悪いことが起こりそうだから。

 米国で最後にすこぶる深刻な弱気相場が訪れたのは、20008年に起きた金融危機のときでした。あれから15年、これほど長い期間にわたって弱気相場がなかったことはありませんでした。米国史上最長です。

 いつまた悪い時期が来てもおかしくありません。これまでも悪い時期がありましたし、これからも必ず来ます。それが世の中の仕組みです。

 08年以降、米国の借金は膨大に膨れました。次に起きる危機は私の今までの人生で、最悪の弱気相場が到来するでしょう。早ければ今年、おそらく来年には起きるでしょう。

 米ドルなら安全なのかと聞かれると、そうではありません。投資の世界には「安全」というものはないからです。

 悪い時期が来ることは分かっているので、米ドルをたくさん持っているだけで、最近はあまり買っていません。米国は世界最大の市場ですから、米国で危機が起きれば、世界中が打撃を受けます。