ビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

「新人(に限らず、若手社員全般かもしれません)があいさつをしない」という声をよく聞きます。しかし新人研修では、「あいさつ」の重要性を強調し、実際に練習も行います。元気にあいさつができるようになってから配属されたはずの新人が、なぜ職場ではあいさつをしなくなってしまうのか? どうしたら再びあいさつをするようになるのか? 今回は、ある企業の製造現場での実例を紹介します。(カスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役・代表講師、産業カウンセラー 片桐あい)

そもそも「あいさつ」の意義とは?

 あいさつの意義とは何でしょうか?それはコミュニケーションの入り口であり、「ここにいてもいいよ」という承認の表れです。近年、健康管理の観点からも、あいさつの重要性が説かれています。日々のあいさつを通じて、部下の些細な変化に気付き、心の健康状態を見極める手がかりにすることができます。定期的な接触がなければ、その変化を見逃してしまうかもしれません。

 新人研修やビジネスマナー研修では、「明るく」「いつでも」「先に」「続けて」といったあいうえお作文のように、一定の時間をかけてあいさつの練習をします。しかし、研修で学んだ時には元気にできていたあいさつも、職場の先輩たちが元気なく行っていると、新人もやがて流れに身を任せ、雑なあいさつをするようになりがちです。

 例えば、「おはようございます」には、「早くからお疲れ様です。今日も一緒に頑張りましょう」という意図が込められています。「お疲れ様でした」には、「本日も一日ありがとうございました。明日もよろしくお願いします」という感謝の気持ちが含まれています。しかし慣習的に、または忙しいからという理由であいさつをしなくなったり、あいさつをしても返されないからという理由で止めてしまったりという人も少なくありません。