マンションの駐車場は住戸数に対し100%確保されているのがベスト。そう言い切れる時代は去った。車離れが進む中、空き駐車場の問題が顕在化し、その打開策を探る新築マンションも出てきている。今後どう変わっていくのか。最新の動きを追った。
購入価格以外の「必要経費」に着目
マンションを買うときに熟考したいのが、購入価格以外の、毎月の「必要経費」だ。
管理費と修繕積立金は、平均的なマンションで各1万円。駐車場代は、郊外マンションでも1万円強。都心マンションになると4万円程度になるところも少なくない。
月々の住宅ローン返済以外に、数万円の必要経費が掛かるとなると、「いっそ、マンション購入を機に車を手放そうか……」という人も出てくる。
最近はカーシェアリングが増えているし、レンタカーもあるため、都会で暮らす分には、マイカーをやめても生活に支障はきたさない。
しかし、マイカー離れが加速すると、別の問題が浮上する。
「マンション駐車場の駐車場収入は、基本的にどの管理組合も修繕積立金に組み入れています。このことは、国土交通省も勧めています。ところがこのところ、若い人で車を持たない人が増えている。70歳を過ぎたら運転はやめるという人も多い。中には『駐車場が半分余っている』というマンションまで出てきている。修繕積立金に組み入れる予算が半減するというのは、大きな問題です」
そう語るのは、マンションの管理組合の団体である、NPO日住協(特定非営利活動法人日本住宅管理組合協議会)会長の川上湛永氏。
これからマンションを買おうという人は、古いマンションの空き駐車場問題には関心が向かないかもしれないが、いったん買ってマンションに移り住めば、必然的にそのマンションの管理組合員になる。マンション管理に向き合わざるを得ないのだ。
できれば購入前に、何が起こっているかを知っておきたい。この問題は、今後社会問題となっていくはずだ。
用途転用と「立体から平置き」への改修に活路
そもそもマンションの総戸数に対して、何割の駐車場スペースが適正なのだろうか。
「かつては全戸に駐車場が割り当てられる100%駐車場が当たり前の時代もありましたが、今は考えにくくなっています。リーマンショック以降、不況の影響もあって車離れが加速し、既存マンションの管理に携わる企業の間でも、駐車場の空き問題について話題に上ることが増えました」(長谷工コミュニティ業務推進部部長・高木丈彦氏)