——話題にするには、プレスリリースを出したりメディアに露出するというのが基本的なアプローチですが、SNSならユーザーがユーザーに届けてくれると。

はい。個をつないでいくイメージです。ベストは、サービスの構造にそれを埋め込むこと。友達招待キャンペーンがそうですね。例えばメルカリの場合、娘が「洋服が売れてよかった」という体験を得たら「お母さんを招待しよう」とつながる。別に業界内で話題にならなくても、そうやってユーザーが広がっていくわけです。

——なるほど。その発想はスタートアップならではかもしれません。

はい。PRせずにステルス(事業を外部に公表せずに進めること)でやってる会社が最近増えているのも、情報の届け方としてそれが適切だからだと思います。

結局、ユーザーを見ているかどうか。僕は、SNSのその先に誰がいるのかを見ていて、Twitterのフォロワーならこれを書けば届くとか、Facebookの仲のいい人たちはこういう書き方なら伝わるかなとか、結果的にその人の顔を思い浮かべて書いていることが多いですね。

また、その延長線上の話ですが、いまクローズドな場所がものすごく求められていると感じています。例えばLINEのグループやFacebookのクローズドなオンラインサロンみたいなグループとか。そういう場所だから言えることがある。僕はインターネットはこの先、閉じていくのではないかと思っています。

——SNSにおいて、人とのつながりを強く意識しているイセさん。多くの人に見てもらうのではなく、SNSの先にいる1人ひとりの顔を思い浮かべながら書いているという言葉が印象的でした。SNSはオープンな場所というイメージですが、これからはクローズドな場所が求められているという指摘は、SNSのみならずインターネットでのコミュニケーション設計のこれからを予言する示唆に富んだ考察だと思います。

イセオサム氏
 

ゲスト:イセオサム氏(プレイ代表取締役)
学生起業を経て、2005年に日本テレビ放送網に入社し、AD、ディレクターとして映像制作に従事。その後、ネット広告代理店のオプトを経て2008年、HALOを共同創業。取締役COOとしてスマホアプリ事業を展開する。海外からのアプリローカライズや、「ボケて」などのアプリプロデュースで累計1000万DLを突破。文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門受賞。現在はプレイ代表取締役として企業のデジタル活用アドバイザー、オモロキおよびRoadieの取締役としてボケてのアプリと企業コラボを担当。社外取締役を務めるNAVICUSでは企業や自治体のSNSマーケティングをサポートする。複業をはじめとした新しい働き方を提示するオンラインサロン『ハイブリッドサラリーマンズクラブ』も運営。エンジェル投資先は10社ほど。
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