そうですね。ビジネスにも効いていると感じています。グッドパッチはデザイン会社ですが、組織デザインなどの領域で仕事をいただくケースも結構多いです。

企業は経営者や創業者が顔になることが多いので、やはりその人自身を知ってもらうことが大事だと思います。素のままの僕を好きになってもらい、共感してもらうことで、仕事を発注していただいたり採用に応募していただいたりするのが重要だと思っています。

社外だけでなく社内にも経営者や社長の「顔」を見せることは必要だと思います。会社の「ミッション」とか「ビジョン」というのは整形された言葉なんです。そうではなく、社長自身が多角的な言葉で伝えていくことが大事です。そうすることで社員の安心感につながるので。僕は社内のSlackでもよくつぶやいてます。Twitterでつぶやくよりも、社内のSlackでつぶやくほうが多いくらいです。

━━Twitterより社内Slackのほうが多いんですね。ちなみに社内ではどんなことをつぶやくんですか。

芸能ゴシップとかをシェアして「ワロタ」とかつぶやいてます。仕事とは関係のないものも全部出してます。僕は社長然としたキャラクターでは全然ないので。僕のSlackのつぶやきに一番最初につくスタンプは「草」です(笑)。本当に目的のない会話なんですが、そういう雑談的なものがいい。すべてに対して目的を求めはじめると、人って辛くなるんですよ。

━━確かにそうですね。土屋さんはビジネスのためにSNSを始めたわけではないと思いますが、これからビジネスでSNSを始めようとしている方に向けてアドバイスをいただけますか。

自分の考えを発信するのが苦手な人は、いきなり自分の考えを言おうとするよりも、まずは何かのニュースに対して自分の考えを1行だけ追加してツイートしてみるのがいいのではと思います。もしくは読んだ本の感想を3行くらいにまとめてつぶやくとか。日常生活を送る上で何かしらインプットは受けていると思うので、そのなかで見たもの聞いたものに少し自分の考えをプラスしてつぶやくだけでもいいと思います。

━━初心者の方にとっては実践しやすいですね。「フォロワーを増やす」などの目的が先にあるのではなく、土屋さんのように呼吸をするようにSNSを使うことで、結果としてビジネスにも役立っていたということもあります。その順番を間違えずに使うことが大事だと思いました。

土屋尚史氏
 

ゲスト:土屋尚史(つちやなおふみ)氏(グッドパッチ 代表取締役社長兼CEO)
長野県佐久市出身。ウェブディレクターとして働き、2011年3月にサンフランシスコに渡りデザイン会社でスタートアップ支援に携わる。2011年9月にグッドパッチを設立。UI/UXデザインを強みとしたプロダクト開発でスタートアップから大手企業まで数々の企業を支援。新規事業の立ち上げからデザイン組織構築支援まで幅広く手がける。自社開発のUIプロトタイピングツール 「Prott」は2015年度グッドデザイン賞を受賞。2020年6月、デザイン会社として初の東証マザーズ上場。
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