米ヘッジファンド所属の現役オプショントレーダーが、「オプションとは」に始まる基礎理論から、プロトレーダーの視点、そしてVIX先物までを解説する『実務家のためのオプション取引入門』。この連載では本書に収められている14のコラムから5つを紹介する。連載1回目のテーマは、「アメリカのオプション取引の現場」だ。

オプション先進国 アメリカ

 日本におけるオプション取引と言えば、日経225の指数オプションが有名です。現状では、個人投資家も気軽に参加できる国内唯一のオプションマーケットと言ってもよいでしょう。株式オプションに関して言えば、日本はまだまだこれからといったところです。

 一方、オプション先進国のアメリカでは、実に3000以上の銘柄についてオプションのマーケットが存在します。CBOE(Chicago Board Options Exchange)というオプション専門の取引所もあるくらいです。

 オプションマーケットの流動性を確保するために、アメリカではマーケットメイカー(Market Maker)制度と呼ばれるシステムが採用されています。

 マーケットメイカーとは、指定された銘柄について、取引時間中ほぼ常にオプションの買値と売値およびその数量を提示する義務を負った証券取引所に登録されたトレーダーのことを言います。
 通常は各銘柄に対して複数のマーケットメイカーが存在します。
 マーケットメイカーは、各自が求めたオプションの理論値より低い買値と高い売値を提示して取引を行うことで、利益をあげようとします。