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日本人が知らないリアル中国ビジネス 江口征男

中国では「ミニサイズ」の化粧品が売れない理由

江口征男 [智摩莱商務諮詞(上海)有限公司(GML上海)総経理]
【第97回】 2013年3月19日
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 日本で新しい化粧品を販売する場合、フルサイズの本商品以外に、ミニサイズや無料サンプルを用意することがよくあると思います。初めて新しい化粧品を使う消費者にとって、それが自分にあうか、本当によいか分からない段階で、フルサイズの本商品を買うのはリスクがあります。そこで消費者に無料サンプルを提供したり、値段の安いミニサイズをまず買ってもらい、その化粧品を実際に利用して納得してもらった上で、フルサイズ本商品購入してもらうというアプローチを取るのです。

 しかし残念ながら、このアプローチは中国でうまくいきません。中国ではミニサイズは売れないからです。

ミニサイズが売れないのは
中国人が「コスパ」を重視するから

 なぜミニサイズは売れないのでしょうか。

 それは本商品よりも性価比(=お値打ち度、コストパフォーマンス)が低いからです。例えば、本商品200mlが200元で販売されているクレンジングオイルの場合、ミニサイズは50mlで80元ほどするのが普通です。この2つの性価比(=1元当たりの容量〈ml〉)を比較すると、本商品が1.0(ml/元)、ミニサイズが0.625(ml/元)となり、圧倒的に本商品の性価比が高いことが分かります。中身が同じ商品であれば、性価比が高い本商品の方をほぼ間違いなく買うのが中国人消費者なのです。

 もちろんいきなりフルサイズを買って、商品があわない可能性があることは中国人も分かっています。そのため彼らは、日本人以上にネットでクチコミを調べたり、知人に聞いたり、実際に試用してみたりと入念に準備をします。でもいざ「買う」と決めたら、ミニサイズではなく性価比が高いフルサイズを選ぶのです。

 実際、中国でミニサイズを販売している化粧品ブランドは、ほぼ日系企業だけです。そして、(大幅な値引きをして性価比を本商品に近くした場合を除いて)ミニサイズは実際売れていません。

無料サンプルを
ネットで販売する悪用者も

 ミニサイズはダメかもしれないけど、無料サンプルは中国でも有効な販促方法だろうと思う方もいるでしょう。その通り有効です。ただ無料サンプルは「買う前」ではなく、「買った後」に提供するのが中国では常識です。もちろん中国でも本商品を買う前に、お客様に無料サンプルを使ってもらうことで、気に入って買ってくれる人もいます。ただそれ以上に多いのが、無料サンプルの悪用者達です。

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江口征男 [智摩莱商務諮詞(上海)有限公司(GML上海)総経理]

1970年、神奈川県横須賀市生まれ。横浜国立大学大学院工学研究科修了、Tuck School of Business at Dartmouth MBA。Booz & Company, Accentureなどの経営コンサルティング会社、子供服アパレル大手のナルミヤ・インターナショナルを経て、中国にて起業。上海外安伊企業管理諮詞有限公司(Y&E Consulting)、(株)MA PARTNERSの創業経営者でもある。
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