そして、実物を見に
筆者は現地に向かった……

 百聞は一見にしかず。「日本中央の碑」こと「つぼのいしぶみ」をこの目で確認すべく、「日本中央の碑歴史公園」へと向かった。青森空港からレンタカーで1時間ほどの道のりで、鉄道利用の場合は青い森鉄道線・千曳駅から徒歩で20分ほどの場所だ。

坂上田村麻呂の遺物「日本中央の碑」は本物か、青森の巨石に刻まれた謎を検証青森空港から太平洋側へ車で1時間ほどの場所にある「日本中央の碑歴史公園」 Photo by S.T.

 入館料を徴収されることもなく、ただ中央にどーんと巨石が設置されるだけの施設だが、関連資料が多数展示されていて見応えがある。何より、その立派な建物を見れば、これが東北町にとって重要な史跡であり、大きな期待を寄せる観光資源であることがよく伝わってくる。

 果たして、目の前に現れた伝説の「つぼのいしぶみ」だが、これをどう捉えるのかは意見が分かれるところだろう。というのも、日本中央の碑は確かに立派な巨石だが、そこに彫られた「日本中央」の4文字は、一言で言えば“微妙”なのだ。

坂上田村麻呂の遺物「日本中央の碑」は本物か、青森の巨石に刻まれた謎を検証「日本中央の碑」に刻まれた4つの文字  Photo by S.T.


 その丁寧な書体は、1200年の年月を想起させるものではなく、むしろ現代人が丁寧に手書きしたかのような雰囲気がある。ただ、弓のはすでガリガリと彫ったというならこんなものかもしれないし、もしこれが偽作であるなら、もっとそれっぽい演出をするような気もする。

坂上田村麻呂の遺物「日本中央の碑」は本物か、青森の巨石に刻まれた謎を検証寄って見てみた、「日本中央の碑」の4つの文字  Photo by S.T.

 

 いざ現物を目の当たりにしてみれば、かえって謎は深まるばかり。もっとも、それが古代史ミステリーの醍醐味というものか。