日韓関係を左右する
波乱含みの両国の政局

 24年の日韓それぞれの国内政局は、予測がつかない。

 日本では、岸田政権が満を持して決めた所得税減税が不評なため、「国会解散で信を問うことで政権基盤を強化する」という機会は失われた。内閣改造をしたが、副大臣などが不適切な行動で辞任に追い込まれるなど、人気が下降線をたどっていた時に、さらに自民党内の安倍派と二階派を中心とした派閥の政治とカネの問題が浮上し、各種世論調査の支持率は軒並み20%台に低迷している。

 このため、マスコミなどでは、リクルート疑惑で辞任に追い込まれた頃の竹下登首相を引き合いに出し、岸田政権の交代論が論じられるようになった。24年は補欠選挙を除けば大きな国政選挙がない珍しい年なので、竹下退陣の時の状況と単純比較はできないだろうが、仮に岸田政権が交代となれば、新しい首相が日韓関係に対しどのようなスタンスを取るかによって、尹錫悦政権の日本への対応にも変化が出るかもしれない。

 韓国では、24年4月に国会議員の改選がある。この総選挙は大統領選挙ではないため、政権交代に結び付くものではないが、韓国国内の政治動向を左右する重要な政治イベントであり、その勝敗は尹錫悦政権が国内の改革ができるか否かの分かれ目になる。

 韓国国会の議席数は300であるが、最大野党「共に民主党(以下、民主党)」の167議席に対し、与党「国民の力」は112議席と、野党が圧倒的な優位を維持している。

 現政権は左翼政権の弊害を除去しようと政治改革を目指しており、また、文在寅(ムン・ジェイン)政権当時の不正を暴こうとしている。だが、国会における野党の勢力との駆け引きで、改革は思うようには進展しておらず、前政権の不正追及も慎重に行わざるを得ない状況にある。

 民主党は、議席数をバックに政府与党との対決姿勢を強めており、選挙が近付けばこうした傾向は一層顕著になるだろう。

 尹錫悦政権としては、総選挙に勝利することで、政治改革と不正追及に拍車をかけたいところである。逆に、総選挙で敗北すれば、政治改革は一層困難になりかねず、左翼系が国内政治で盛り返すことになろう。そうなれば次の大統領選挙に向けて、尹錫悦政権は一層困難なかじ取りを迫られるだろう。

 総選挙の現時点での見通しは、世論調査の結果を見る限り現政権側にとって芳しくない。12月11~15日のリアルメーターによる調査では、大統領支持率は前回(12月4~8日に実施)と比べ、1.1ポイント下落の36.3%である。「国民の力」の支持率も36.7%と、民主党の44.7%に大きく差をつけられている。