李氏のトラブルの裏側にある不都合な真実

 日本でも一昨年の安倍晋三元首相が襲撃事件で命を落としたこと、昨年も岸田文雄首相が遊説先の和歌山で襲われそうになる事件が起こるなど、要人警護のあり方や、大勢の一般市民の聴衆を前にして演説や視察を行うことのリスクが取り沙汰されている。

 しかし、今回の事件に対する世論の反応を見ていると、「暴力で相手をねじ伏せることがあってはならない」「李氏に対する支持・不支持は関係なく、今は回復を祈ろう」といった声が聞かれる半面で、今回の襲撃事件に疑問を呈している人も多い。それは、単に李氏を嫌っているという理由だけではなく、彼のさまざまな過去の言動や「共に民主党」の体質そのものにも触れているという印象がある。

 李氏は過去にスキャンダルが多すぎたし、黒いうわさが数多くつきまとってきた政治家である。それを思うと、どうしてもネガティブな印象になり、さまざまな疑念を持たれてしまう。さらには、これまで李氏自身が何らかのアクションを起こしたり、トラブルに見舞われたりする時は、不思議と自身のスキャンダルに関連した捜査や裁判を控えている時期と重なるのである。

 昨年8月に、日本の福島原発の処理水海洋放出と尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権への抗議のためだと主張し、ハンストを行った時は、自身の逮捕の危機が迫っていた時期であった。そして今回も、実は李氏は1月上旬に、土地投機の不正などに関する自身の裁判を控えていたのだ。結局、入院のために裁判は延期となった。