近隣の家が空き家だと
自宅の資産価値も下がる

 しかし、長男までもが都心に行き、そこで職に就く。ここから生まれたのが「核家族化」という現象です。すると、地方ではその家業の後継者と、建物の後継者を失います。

 都会に出た世代の多くが、今、老後を迎えています。そして彼らの子ども(団塊ジュニア)も家を持ち、親の世代が都会に出て建てた家には戻りません。

 さて、お気づきのとおり、この状態でまず地方の実家が空き家になります。そして人口減少が訪れると、団塊世代の家、続いて団塊ジュニアの家も空き家になっていきます。

 史上まれに見る出生数が多かった世代の家を、減少する後世が埋めようとしても、とてもではないですが追いつきません。ましてや、いまだに日本では年間80万戸の新築住宅が建ち続けているのです。

 空き家が15年後には2300万戸になる。この途轍もない数には、どうやら疑いの余地がないようです。その頃には、みなさん自身、あるいはみなさんの親類にも必ずと言っていいほど空き家所有者がいるでしょう。空き家にかける総額2000万円を念出するため、家計が圧迫されているかもしれません。

 2000万戸というと、3軒に1軒が空き家、つまり隣か、隣の隣は空き家になります。するとどうでしょう。みなさん、購入を検討している住宅の隣が空き家だと分かったら、積極的に買いますか?

 そうです。近隣が空き家というだけで自宅の資産価値が落ちてしまうのです。現在空き家にせずに住んでいる人も、ここで金銭的に損失が発生します。

 自分が空き家を持つかもしれない。隣が空き家になったら資産価値も下がるし、イタチやハクビシンといった獣害などの被害も受ける。いずれにせよとても大きなお金を失うことになりかねません。

 こんな八方塞がりの未来。二つの「2000万」があなたを襲う「空き家2000万問題」は、すでに目の前に迫っているのです。

 これは、どこか遠い国の紛争ではありません。確実にみなさんの、お財布の中身にも関係してくる問題なのです。