昭和電工はガソリンスタンドの地下タンクの改修需要を狙い、強化プラスチックのソリューションビジネスを始める。
2011年に消防法が改正され、設置から40年以上経過したタンクは改修が義務付けられた。老朽化したタンクからの油漏れの事故が相次いでいるからだ。
改修にはタンクを丸ごと交換するか、タンクの内側を強化プラスチックでコーティングする方法などがある。昭和電工はこのプラスチックでシェア7割を持つ。耐久性に優れながらも比較的コストを抑えられる高分子ポリエチレン樹脂で、特許も持っている。
猶予期間が13年1月末だったため、12年は改修が相次ぎ、同社によると全国で6000本のタンクが改修されたという。
ただ、全国にはまだ老朽化したタンクが散在している。改修には工事費の3分の2まで補助金が出るが、この助成制度も延長された。同社は13年も5000本のタンクの改修需要、施工費も含めると90億円の市場があると踏む。
このチャンスをみすみす逃すわけにはいかない。市川秀夫社長は「素材メーカーとして、顧客からの発注をじっと待っている時代はもう終わった。強みを持つ商品の広がりを考えることが大切だ」と主張する。
そこで、これまでの強化プラスチックを材料として単に販売するだけでなく、施工会社と連携し、工事もセットにして提供しようというのだ。
「社会インフラの整備には大きな市場がある。家庭用バスタブに使われる熱硬化性樹脂も、例えば、トンネル内部を補強するコンクリートの代わりにライニング用途として展開できないか、と探っている」(市川社長)。