ドーパミン、セロトニン、オキシトシン
幸福感が生まれる三つの物質

 そのヒントは「幸せホルモン」です。幸せホルモンと呼ばれるものは主に3種類あります。具体的には神経伝達物質のドーパミン、セロトニン、そしてホルモンのオキシトシン。幸福感は、脳内で分泌されるこの三つの物質が、脳の神経細胞などに作用することで生まれます。

「安心、やすらぎ」といったことを感じるときにセロトニンが分泌され、そこで味わうことができるのが「心と体の健康からくる幸福」である「セロトニン的幸福」。

 夫婦、恋人、親子、兄弟、友人といった相手との安定した関係によって生まれるプラスの感情や喜びなど、他者との交流、関係によって生まれる「つながりの幸福」が「オキシトシン的幸福」。

 お金を得る、欲しい物を手に入れる、あるいは仕事での成功など、何かを得たり達成したりしたときの喜びや幸せからくる「成功の幸福」が「ドーパミン的幸福」。

 精神科医の樺沢紫苑氏は、著書『精神科医が見つけた 3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法』の中で、この三つの物質の優先順位が非常に重要であると述べています。

 優先度が高い順から、「セロトニン的幸福」⇒「オキシトシン的幸福」⇒「ドーパミン的幸福」。この順番が非常に大事だとのことです。

 人は幸せになるために成功を得ようと頑張りますが、頑張るためには「健康」という基盤が必要です。「セロトニン的幸福」と「オキシトシン的幸福」を盤石にしたうえで「ドーパミン的幸福」を積み上げていく。結果として、「三つの幸福」を全て手に入れることができるというのです。

 どんなに富や名声を得ても、その人が自分自身の体の健康に満足していなければ、幸せだと感じられない可能性が高いでしょう。

 その上で、ウェルビーイングにおいて非常に重要なのが、周囲の人々との良好な関係性です。人は自分の幸せを願うより他人を幸せにしたいと思えた時こそ強く幸せを感じるということが、多くの研究によって証明されているからです。

 三つの物質のなかでも、お酒と関わりが深いのが「オキシトシン」です。先に述べたように、お酒は適量なら気持ちをリラックスさせる効果があり、また、お酒を介して誰かと一緒に過ごすことで、人と人とのつながりを作り、さらに深めていくことができます。つまりお酒は、飲んだ人が楽しいだけでなく、「オキシトシン」を分泌させる有効なコミュニケーションツールでもあるのです。