東京・神奈川「中高一貫校」入試最終情勢、“弱気な学年”で難関・上位校に大波乱!【2024年版】出願者総数が前年比3倍弱に増加した横浜雙葉(横浜市中区)

いよいよ2月1日から東京と神奈川の中学入試が始まる。新型コロナ禍明けで最高水準となった首都圏の中学受験率は、2023年実施の四模試の受験者数推移からは2%弱の志願者数減もあり得る情勢だったが、12月四模試では逆に微増傾向に転じるなど先行きが不透明である。現状の志願状況などを勘案し、直前に迫った2024年入試の最終情勢を追ってみよう。今回は難関・上位校を主に扱う。(ダイヤモンド社教育情報)

2024年は「弱気な男子」が大量発生

 首都圏1都3県の小6生は、前年比で5000人ほど減少している。2023年中に行われた四模試(四谷大塚、サピックス、日能研、首都圏模試)の受験者数も前年同期より1~2%程度減少傾向にあり、22年から続伸してきた中学受験者の増加傾向も、24年にはさすがに沈静化すると思われていた。

 ところが、12月四模試の受験者数は前年同期で0.8%とわずかながら増加に転じている。入試直前でのこうした動きは近年見たことがない。24年入試も史上最多の参加者となるかもしれない。また、偏差値(四谷大塚合不合80)60を超えるような難関・上位校が24年入試では軒並み志願者数を減らしている。この2つから言えることは、24年は全体的に「弱気な学年」であり、中堅・中位の受けやすい学校に受験生が押し寄せて、一部の学校では特需が発生するかもしれないということだろうか。

 まずは最難関校から見てみよう。2月1日午前で最も多くの受験生が集まる開成はこの5年間、志願者数が1200人を下回ったことがない。24年は前年より30人減の1259人で確定した。関西方面からの記念受験的な動きも戻っている(首都圏から灘を受験する動きも同様だが)。23年の実倍率は2.9倍だった。例年、追加合格者が発生するため、その分だけ実倍率は低下するはずなのだが、実際のところはよく分からない。

 麻布は20年からの5年間で一番少ない826人に、同じく武蔵も546人で確定した。駒場東邦は難関校では珍しく四模試での志望状況通り志願者数を伸ばし、23年の611人を上回り、21年645人に迫る644人で確定した。神奈川から通う生徒が3分の1ほどいるという麻布と駒場東邦の志願者数はトレードオフの関係にあるようで、両校の志願者数(麻布・駒場東邦)を比べてみると、20年(1016・605)、21年(881・645)、22年(934・565)、23年(918・611)といった具合である。
 
 駒場東邦の好調を支えている要因は、好調な東大合格実績に尽きるようにも思える。男子校はこの点が明確で、前年の東大合格者数の増減が志願先に影響を与える傾向が見られる。男女別定員を設けていない渋谷教育学園渋谷も志願者数は減少傾向なのだが、1日1回の志願者数を22年から24年(1月24日現在)まで見てみると、451(男148女303)人、446(男163女283)人、389(男181女208)人と男子の志願者数が年々増加している。自由な校風ながら、40人台の東大合格実績を維持している点で、共学志向の男子が押し寄せているとみられる。
 
 新校舎が受験生の心に響いたのか、早稲田は1日1回855人、3日2回1460人といずれも23年を上回った。ライバルの海城は1日一般〈1〉が538人で前年比11%減、3日一般〈2〉が1381人の同3%減となった。男子難関校の併願先として例年人気の本郷は23年が好調だったものの、四模試での志望状況通り、24年は大きく緩和しており、22年実績を維持できるかという状況にある。特に難関男子校の定番の併願先で、23年1385人と躍進した2日2回がどのくらいでとどまるかが注目点となる。