沈静化した付属校ブーム

 ここ数年続いた付属校ブームは沈静化している。慶應義塾中等部(募集定員男約120女約50)の志願者数を見ると典型的だが、2020年に1414(男956女458)人だったものが、23年には1296(男851女445)人まで減少している。とはいえ23年に3日と5日の2回の選抜で合格を得たのは193(男135女58)人で、受験者数と比した実倍率は男6.3倍、女7.7倍と、付属校の中の最難関であることに変わりはない。近年、じりじりと志願者が減っている慶應義塾普通部よりも男子受験生が中等部を目指す傾向もあるようなのだが。

 早稲田大の系列校も同様で、20年に638(男397女241)人いた早稲田実業学校(募集定員男約70女約40)の志願者も、23年には524(男320女204)人となっている。24年出願者数が416人で確定した男子校の早稲田大学高等学院中学部も22年の470人から1割以上減少している。

 23年に4校いずれも好調だった立教大の付属・系属校は、24年は減少傾向にある。注目は、香蘭女学校の立教大推薦枠100%確保の効果がどこまで表れるか。1日1回は26日現在389人と23年412人まであと一歩のところにある。一方で、付属校で唯一1日1回だけ入試校である立教女学院は志願者数が年々減少気味で、24年は前年比17%減の294人で確定した。そろそろ入試の在り方を検討する時期に来たのかもしれない。

 明治大学系列では、23年に緩和気味だった明治大学付属明治が復調し、2日1回が前縁比12%増の641人、3日2回が同11%増の612人で確定した。男子校の明治大学付属中野は24日現在で2日1回が742人(23年886人)、26年から共学化して明治大学附属世田谷になる予定の日本学園も23年の高実倍率が敬遠されたのか1日1回は23年418人より100人ほど減少が見込まれる。もう1校、共学校の明治大学付属中野八王子は1日1回がすでに23年を上回っているが、他の入試回は緩和気味である。

 青山学院中等部は30日に募集を締め切るが、23年出願者数973(男410女563)人を確保することは難しそうである。この学校も1回だけ入試校だが、20年1138(男519女619)人からはだいぶ減少しており、入試について検討する時期に来ているかもしれない。

 中央大学附属は1日1回が475人で確定した。23年より9人減だが、22年と比べると8%減となる。中央大学附属横浜の1日1回は26日現在411人と23年を上回ったが、22年516人には届きそうもない。

 法政大学は1日1回が261人で確定した。23年の落ち込みからは回復したものの、22年306人までは届かなかった。法政大学第二は2日一般1回の出願者数1000人を超える人気が続いているものの、24年は大台維持が微妙な状況になっている。

 日本大学系列の日本大学第一日本大学第二日本大学第三に共通しているのは、22年から23年にかけて、特に2回目以降の入試回が大きく緩和した点だろう。24年もさらに志願者数が減少傾向にある。3校とも1日1回でどこまで戻せるかが注目点となる。

 相変わらず女子人気が高い目黒日本大学は、23年に志願者数を大きく増やした。24年は1日1回がすでに22年を超えたが、23年実績まで届くかは微妙である。ここ数年絶好調だった男子校の日本大学豊山はすっかり落ち着き、特に人気だった2日午後2回は27日現在395人と、22年804人から半減している。女子校の日本大学豊山女子は多彩な入試を設定して23年は22年より上積みしていったが、24年は緩和しそうだ。1日午後入試は比較的順調で、算数1科入試も新設されている。

 横浜の日本大学は22年から23年にかけて大きく緩和したが、24年も軟調が続いている。日本大学藤沢は23年に盛り返したが、24年はかなり緩和傾向なので、だいぶ受けやすくなりそうだ。