二分される上位校の人気入試

 東京の上位校の中で、2日に1回だけ入試を行う白百合学園は微妙な立ち位置にある。2020年には373人で実倍率2.8倍だったものが年々低下、23年には306人で2.1倍となり、24年は292人で確定した。募集定員が60人と少ないものの、入試の在り方を考える必要に迫られそうだ。
 
 上位校の中でも、創立160周年を迎えた攻玉社は、「弱気な男子受験生」にとってちょうどいい水準の志願先となっているようで、1日1回も2日2回も23年、22年を超えて絶好調である。も同様で、22年、23年と続いた増加基調が24年も変わらず、1日1回は前年比6%増の600人で確定した。1日午後入試で一番多くの受験生が集まる東京都市大学付属は、1日午後2回は1000人を確保したものの、全体的に前年比1割強減で推移している。入試当日朝7時まで出願を受け付けているので、最後の駆け込みに期待しているかもしれない。23年に大きく戻した桐朋は、それを維持できるか微妙な情勢である。
 
 難関校の併願先としても人気の4つの男子校はどうか。新型コロナ禍明けの23年に大きく盛り上がった城北は、1日1回は比較的順調だが、2日2回は減らすことになりそうだ。巣鴨は全体的に安定しており、23年に大きく伸ばした2日II期が減少しそうなくらいで、残りはほぼ前年並みとなりそうだ。理数コース出願で自動的に本科コースにも出願になる世田谷学園は、1日1次以外は23年に大きく伸ばしていた。現状を見ると、1日1次こそ微増傾向だが、出願者数の多い1日午後算数と2日2次がかなり減らしそうである。新駅と湾岸効果で上向きの高輪は、2日午後算数以外は24年も好調で、さらに上積みも期待できそうである。
 
 神奈川では、サレジオ学院が好調で、1日Aは28日段階で23年より6%増の382人となっている。鎌倉学園も主入試である1日一次が絶好調で、27日現在339人と23年265人をすでに28%上回っている。一方で、1日午後算数選抜は半減の勢いなので、狙い目かもしれない。23年に絶好調だった逗子開成は緩和気味だが、1日1次は22年実績を超え、23年485人にどこまで迫るかが注目される。
 
 女子の上位校はどうか。鴎友学園女子は1日1回が22年603人、23年573人と緩和傾向にある。24年も28日現在511人となっている。23年の実倍率が2.8倍と厳しかったこともありそうだ。吉祥女子も23年実績を維持できるか、微妙な状況にある。
 
 一方で、理由はよく分からないものの絶好調なのが学習院女子である。系列の女子大が学習院大に統合されるが、進学先はこれまでも学習院大が主だったので、状況に変化はない。それでも、1日Aは前年比27%増の322人、3日Bは同28%増の534人で確定した。大学合格実績が好調な頌栄女子学院は、1日1回が23年実績を超え、22年292人とほぼ同じ291人で確定した。難関・上位校受験生最後の救いとなる5日2回は22年570人、23年437人と減少傾向にあるが、24年は少し盛り返すかもしれない。東洋英和女学院は22年からの上昇傾向を維持して23年実績も超え、1日Aは23年より26人多く、22年比26%増の288人、3日Bは同19%増の570人で確定した。