最高速度が20km/h以下で低いため、重大事故を引き起こすリスクが低い……つまり保険会社が高額の保険金を支払うケースが少なさそうなので、「では利用者に保険料を支払わせすぎるのもアレですし、順当に保険料引き下げましょう」となったわけである。当然保険料が下がればハードルは下がり、利用者が増えることが見込まれる。

各国で規制強化が進む中
日本だけどんどん規制緩和のなぜ

 電動キックボードにまつわる諸ルールについて、諸外国を見渡すと、免許が必要だったり、ヘルメット着用義務はなかったり(義務があることの方が少ない)、運転可能な年齢も14歳だったり18歳だったりと、様々である。

 ただ、多くの国に共通しているのは「マナーの悪さや危険な運転が問題となっている」という点で、それに伴って各国規制が強化される方向で進んでいる。
 
 現代に登場した新しいモビリティなので、その適切な利用方法を各国四苦八苦しながら模索している最中なのであろう。導入してみたら、利用者がわりとみんな野放図に使って各所に迷惑や事故が発生しているので、規制が強められているような塩梅である。
 
 ただ、日本だけ異様に緩和が進んでいくので、「バックで巨大な利権がからんでいるのでは」と訝しむ声が、そこかしこで聞こえてくるほどである。

「諸外国と違うから日本は間違っている」などと述べるつもりは毛頭ないが、少なくとも国内世論が「電動キックボード絶対反対」までは到底いかなくとも、「もう少し安全に配慮しながら政策を進めていくべきでは……?」という穏当な意見すらガン無視でどんどん進んでいく規制緩和は、あまり健全に見えない。

 電動キックボードを恐ろしく思い、心配を盛んに口にしているのは、特に車やバイクを運転するドライバーたちである。筆者も車を運転するのでよくわかる。マナーよく走っているボード利用者も当然いるのだが、ヒヤリとさせられることも多い。車のドライバーは事故を起こして相手を怪我させたくないし、もっと身勝手な本音を言うなら、無謀な運転をしている電動キックボードのせいで、余計な事故に巻き込まれたくない。