バブル再来!株価を動かす重大ニュース 人事、再編、物言う株主の思惑…記者が総力取材#1Photo:Bloomberg/gettyimages

セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長が今春にトップ就任から丸8年を迎え、去就が焦点となっている。井阪氏は続投するのか、後任にバトンを渡すのか。実は、トップ人事は同社の株価の動きを左右しかねない。特集『バブル再来!株価を動かす重大ニュース 人事、再編、物言う株主の思惑…記者が総力取材』(全18回)の#1では、井阪氏の後任として浮上する有力候補2人の実名を明かすとともに、トップ人事が株価にインパクトを与えかねない理由も解説する。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)

営業利益は過去最高見込み
井阪社長の去就が焦点に

 セブン&アイ・ホールディングスが1月11日に発表した2023年3~11月期の営業利益は、前年同期比3.8%増の4100億円で、過去最高を更新した。

 丸山好道最高財務責任者(CFO)は同日の決算説明会でこう総括した。「国内コンビニ事業は人流回復に加え、価値を伴う価格政策を含め、商品・売り場・販促の一体で取り組みを進めており、北米コンビニ事業は外部環境が厳しい中、変化に対応して成長を継続している」。国内と海外のコンビニが成長のけん引役となったということだ。

 セブン&アイの業績は堅調といえる。24年2月期通期の営業利益計画は前期比3.6%増の5250億円。過去最高だった前期を上回り、2期連続で最高益を記録する見通し。営業利益は新型コロナウイルスの感染拡大で一時は落ち込んだものの、それを除けば右肩上がりにある。

 同社を成長軌道に導いてきたのが、井阪隆一社長である。井阪氏は16年、当時セブン&アイ会長だった鈴木敏文名誉顧問からセブン-イレブン社長退任を求められた。だが、取締役会が否決したため、鈴木氏が退き、セブン&アイの社長に井阪氏が就いた。

“お家騒動”をきっかけに16年5月から社長を務める井阪体制は今春で丸8年を迎える。業績は堅調ではあったものの、求心力が懸念される事態もあった。代表例が、百貨店のそごう・西武の売却である。関係者の合意をまとめられず、何度も売却が延期された。大手百貨店では約60年ぶりとなる労働組合のストライキも招くなど社内は混乱した。

 長期政権で、焦点となっているのが井阪氏の去就だ。井阪氏が続投するのか、後任にバトンを渡すのか。実は、セブン&アイのトップに誰が就くかということは同社の株価の動きを左右しかねない。

 次ページでは、井阪氏の後任の有力候補2人の実名を挙げるとともに、トップ人事が株価に影響を与えかねない理由についても解説する。