「もしトラ」から「マジトラ」へ
トランプ氏と渡り合える首相は誰か

「選挙イヤー」と呼ばれる今年、最大の関心を集めるアメリカ大統領選挙に向けた共和党候補者指名レースは、16の州と地域で予備選挙や党員集会が集中する3月5日のスーパーチューズデー(決戦の火曜日)を経て、トランプ前大統領(77)が指名をほぼ確実にした。

秋の自民党総裁選挙のキーワードは「もしも小池さんが出馬したら」秋の自民党総裁選挙のキーワードは「もしも小池さんが出馬したら」(2月2日、岸田文雄首相〈右〉との面会のため官邸を訪れた小池百合子東京都知事) Photo:SANKEI

 近頃、「もしトラ」(=もしもトランプ氏が返り咲いたら)という言葉を見聞きするが、対する民主党のバイデン大統領(81)にも、「もしもバイデン氏が高齢を理由に出馬を断念したら」「11月5日の本選の前に倒れちゃったら」など、「もしも……」の懸念が付きまとう。

 もっとも、4つの案件で刑事訴追されているトランプ氏の場合、今後の裁判がどうなるか、そしてそれらの裁判にどの程度の費用がかかるかという問題がある。それでも今の勢いを見れば、「もしトラ」はすでに古く、「マジトラ」(=マジでトランプ氏が……)へとフェーズが移ったと言っていい。

「トランプ大統領」が現実のものとなれば、アメリカ第一主義に戻る可能性が極めて高い。EUやNATOなどとの国際協調路線から180度転換し、(1)関税引き上げ、(2)ウクライナへの支援縮小、(3)在韓米軍の撤退および在日米軍駐留で相応の負担要求、(4)徹底した移民対策、(5)気候変動の枠組みから撤退、といった政策を打ち出すことは容易に想像できる。

 そうなれば、日本にとっても、貿易や安全保障をはじめ、環境や半導体などを巡る面でも影響は避けられない。

 言い換えれば、「トランプ大統領」と親しく付き合いながらも、日本国民の生活に悪影響が出ないよう、はっきり物が言える首相は誰か、という点がかつてないほど重要になってくるのだ。