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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

公的機関が必要とするのは
卓越した人材ではない
六つの“規律”である

上田惇生
【第325回】 2013年4月1日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
2520円(税込)

 「あらゆる公的機関が、六つの規律を自らに課す必要がある。事業の定義、目標の設定、活動の優先順位、成果の尺度、成果の評価、活動の廃棄である」(ドラッカー名著集(13)『マネジメント──課題、責任、実践』[上])

 今ようやく日本でも、公的機関の見直しが急ピッチで進められている。しかしドラッカーは、すでに3分の1世紀前に、公的機関に成果を上げさせるための規律を明らかにしている。

 第一に、自らの事業を定義することである。「事業は何か」「何であるべきか」を定義する。ありうる定義をすべて公にし、それらを徹底的に検討する。

 第二に、その定義に従い、明確な目標を設定することである。成果を上げるには、活動に直結する目標が必要である。目標がなければ活動のしようがない。

 第三に、活動に優先順位をつけることである。同時に、期限を明らかにし、担当する部署を決めることである。

 第四に、成果の尺度を明らかにすることである。尺度がなくては、せっかくの事業の定義や目標も、絵空事に終わる。

 第五に、その尺度を使って成果のフィードバックを行なうことである。全組織が成果による自己目標管理を行なわなければならない。

 第六に、事業の定義に合わなくなった目標、無効になった優先順位、意味の失われた尺度を廃棄することである。不十分な成果に資金とエネルギーを投入し続けることのないよう、非生産的なものすべてを廃棄するシステムを持つ。

 これらのステップのうち最も重要なものは、事業の定義だと誰もが思う。ところがドラッカーは、最も重要なものは、第六のステップだという。企業には、非生産的な活動を廃棄しなければ倒産するというメカニズムが組み込まれている。ところが、公的機関にはそのようなメカニズムがない。

 公的機関が必要としているのは、人の入れ替えの類いではない。わずか六つの規律を守ることである。

 「公的機関に必要なことは、企業のまねではない。成果をあげることである。病院は病院として、大学は大学として、行政機関は行政機関として成果をあげることである。つまり、自らに特有の目的、ミッション、機能を徹底的に検討して、求められる成果をあげることである」(『マネジメント』)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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