物価が2%以上の上昇率を維持しインフレに

 振り返ると2016年1月、日銀は物価の持続的な下落(デフレ)を食い止めるためマイナス金利政策を導入した。その後、世界的な食料品や資源価格の上昇や円安の影響もあり、物価が上昇=インフレ傾向をたどっている。本来、物価が上昇するのであれば、マイナス金利政策はもっと早い段階で解除されていてもおかしくはない。

 21年夏、わが国の消費者物価の前年同月比変化率は、総合ベース、生鮮食品を除く総合ベースの両方でプラスに転じた。そして22年4月以降、2つの指数は、日銀が物価安定の目標に設定した2.0%を上回った。直近の今年1月、総合指数は同2.2%、生鮮食品を除く総合指数は同2.0%上昇した。

 1月の物価を品目別に見ると、日常生活に不可欠な食料の価格は、23年9月の同9.0%から下落したものの、5.7%と依然として高い。穀類、魚介類、肉類、乳卵類、野菜・海藻、生鮮野菜、果物などの価格もCPI全体の上昇率を上回った。光熱・水道、電気代の価格上昇ペースは一時期より鈍化したが、衣料、交通・通信関連の価格も上昇した。総じて、食料品や日用関連の物価上昇圧力は強い。家計の生活負担は高まった。

 一方、賃金の上昇ペースは、日常生活に必要なモノやサービスの上昇に追い付いていない。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、今年1月まで実質賃金(現金給与総額を消費者物価指数〈持家の帰属家賃を除く総合〉で除した結果)は22カ月連続でマイナスだった。

 24年4~6月期以降、わが国の実質GDP(国内総生産)の約53%を占める個人消費は前期に比べ減少した。23年4~6月期、実質GDP成長率はプラスを維持したが、7~9月期はマイナス成長に陥った。10~12月期(改定値)は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.1%増、この成長ペースが1年続いた場合の年率換算で0.4%増となった。2四半期ぶりにプラス成長に浮上した。

 物価が2%以上の上昇率を維持しインフレである。一方で食料品などの価格上昇ペースは賃金の伸びを上回ったため個人消費が減少し、経済は一般的に言う景気後退に陥っている。