中国や米国の影響で予断を許さない日本経済

 3月13日に春闘の集中回答日を迎える。賃上げ機運そのものは高まったが、一部大企業の賃上げが目立つ結果になる可能性は高い。中小企業を含めた全体で見ると、食料品価格の上昇を上回る賃上げの実現は難しく、1~3月期もわが国の経済はマイナス成長に陥る恐れもある。

 今後、少し長い目で見ると、わが国経済の厳しさは続くだろう。日本から精密機器や工作機械などを輸入する中国が長期間の景気低迷に陥る可能性が高く、現時点での習近平政権の経済政策では、中国経済がすぐに本格的な回復をするとは考えにくいからだ。

 他方、米国経済は予想以上の好調さを保ってきた。その下支えとなっているのは、労働市場が依然としてタイトであること、賃金上昇率が4%台と物価上昇ペースを上回っていること、そして株高である。

 ただ、専門家の意見でも、「米国の株価は高すぎる」との指摘が増えている。商業用不動産関連の損失拡大で、ニューヨーク・コミュニティー・バンコープなど地方銀行の業績不安も高まっている。それらがボディーブローのように、景気にマイナスの効果を与えるはずだ。中国経済が低迷する中、世界経済を支えた米国の景気が減速することへの懸念が高まれば、世界全体の景況感は冷え込み、わが国から米国への自動車輸出などが減少するだろう。

 米国経済の先行きに懸念が出ると、外国為替市場でリスク削減に動く投資家が増え、金利の高いドルを買い、超低金利の円を売る「円キャリートレード」の巻き戻しが起きる。そうなると円高への圧力が高まり、訪日外国人(インバウンド)需要も減少するだろう。円安がかさ上げした国内の企業業績の懸念も高まる。

 それらの要素を考えると、先行きに慎重になる国内企業の経営者は増える、賃上げの勢いも弱まってしまうだろう。半導体関連の設備投資が景気を下支えしても、GDPの50%超を占める個人消費が盛り上がらないと、景気の本格的な回復は難しい。日本経済の先行きは慎重に考えた方がよいだろう。