また「GDPはそこまで重きを置かなくてもいい指標」といった見方もある。

 たとえば日本商工会議所の小林健会頭は、「4位落ち」が報道された際のニュースで”購買力平価”での比較が望ましいと話している。

 なお、巷にある意見・感想をここまでざっと、おおむね平たく紹介してきたが、数として多かったのは以下である。

・中国に抜かれたとき→中国は人口が多いから当然(悔しくない)。

・ドイツに抜かれたとき→この円安だから当然(悔しくない)。

日本経済が成長し
再び活躍することへの期待

 さて、意見を拾っていく過程で同時に感じたのは、今後日本が成長していくことへの期待である。目下のところ、産業立国としてはかつてほどの勢いがなく、今ひとつ精彩さを欠いている日本であっても、その分野において世界で際立った存在感を示せる復権の日を、多くの人は夢見ているようである。

 特に関心が寄せられているのは自動車や半導体あたりで、そこでは政策主導のテコ入れが多く期待されている。

 その根本にあるのは「日本は優秀」という自国への信頼である。今回のGDPランキング4位落ちのニュースをきっかけに、「確かにGDPはドイツにまくられたけど、日本はまだこんなところが――」と、日本のポテンシャルを再発見させるような着眼点が、いくつも指摘されて出てきた。

 これは、その指摘通り、「客観的事実として判断したときにその通り(日本にポテンシャルがある)」ということもあるのだろうが、「日本だってまだ負けていない」という、プライドから来る奮起の意思表明にも思えるのである。