「判断遅れ」の持家購入では
資産性を求めない

 最後に、私の提案をお伝えしよう。家賃補助よりも不動産価格の上昇の方が大きいと思われるタイミングでは、極力早めに持家を購入すべきである。購入価格より値上がりするマンションを買えば、毎月のローン返済額は売却時に戻ってくるので、無料で住んでいたのと同じことになり、家賃補助より得になる。

 また、住み替えのタイミングで、家族構成に準じて大きくも小さくもすることができる。最終的に夫婦2人になったなら、面積を小さくして、益出しをした金額を老後資金に充てられる。いずれにしても、最初の購入時期が早い分だけ住宅ローンの完済は早くなるので、老後のキャッシュフローは軽くなり、一生住み続けられる家がついてくる。

 この提案は、家賃補助がない人には適合しやすい。面積は小さくても早めに資産性があるマンションを購入し、家族構成に準じて住み替え、自宅で資産形成するのがいい。

 とはいえ、家賃補助を投げうって持家購入に至る人は少ないだろう。家賃補助をお得だと思っている人は、制限年齢までそれを受け続け、気づいたときには持家価格は高く、ローン負担は重く、住み替えることが難しくなり、遅ればせながら購入した家に一生住むことになる。

 そうした人は、そもそも家に資産性を求める必要はない。売却しての住み替えを検討できない人が資産性を気にしても実現益になることはないからだ。その際には、資産性を一切無視して、どんな家を選んでもいいことになる。

(スタイルアクト(株)代表取締役 沖 有人)