50代、60代からでも投資で老後資金をつくることはできますか?

――投資の必要性については理解できました。しかし、55歳の私が今から投資を始めて、本当に老後資金を形成することができるのでしょうか?

 50代、60代の人の中には「投資に興味はあるけれど、今さら始めても遅い」と考えている人も多いです。しかし、それは大きな間違い。

 確かに、若い世代のように数十年の投資期間を取ることはできませんが、若い世代と比べて強みとなるのが、資金力です。50代、60代になるとすぐに使わないお金として300万~500万円の現金を保有している人も少なくありません。マーケットの下落局面において、豊富な資金を元手にまとめて投資信託を買えば、スタートの遅れを取り戻すことは可能です。

 ただし、まとめて買う場合は、投資期間が長く取れないため、リターンを狙って思い切った投資をするのではなく、ローリスクな金融商品を選ぶ方が賢明です。

――確かに若い頃に比べたら預貯金はありますが、子どもの大学の学費など出費も多く、家計にそれほど余裕はありません。投資のためにまとまったお金を用意することは難しいのですが、大丈夫でしょうか?

 投資を始める際には必ずしもまとまったお金が必要というわけではありません。投資信託の積み立て投資であれば、大きな手持ち資金がなくとも、気軽に始めることができるので安心してください。

投資初心者でも負けない投資術ってありますか?

――ここまでの話を聞いて、私も投資を始めようという気がだんだん湧いてきました。とはいえ、全くの投資初心者なので、もし失敗して損失が出てしまったら……という不安は尽きません。もし、負けない投資術のようなものがあるなら、教えてください。

 投資にはリスクは付き物で、絶対に負けない方法は残念ながらありませんが、リスクを軽減するための「王道」はあります。それが、投資信託による「長期・積み立て・分散」投資です。

――投資の王道である投資信託による「長期・積み立て・分散」投資について、もう少し詳しく教えてください。

 投資でなるべく元本割れを回避する手法として、実践したいのが、「長期・積み立て・分散」です。それに最も適した金融商品が投資信託です。投資信託は、ファンドマネジャーが運用を代行してくれるため、経験の浅い投資ビギナーでも銘柄選びに迷うことがありません。また、一つの企業が投資対象となる株式とは違い、投資信託はたくさんの投資対象を一つにまとめた商品となるため、さまざまな地域や金融商品に幅広く分散投資できる点も魅力です。さらに100円など少額で購入でき、気軽に利用できます。

 とはいえ、投資信託も株式と同様、日々値動きを繰り返すため、購入するタイミングを自分で見極めることは非常に困難です。そこでお勧めしたいのが積み立て投資という投資手法です。積み立て投資とは、毎月決められた金額を定期的に投資する方法。

 購入するファンドと毎月の購入金額さえ決めれば、後は自動的に投資が行われるため、市場の動きなどを気にすることなく気軽に投資することができます。また、積み立て投資では、毎月一定金額を購入していくことによって、価格が高いときには少ない口数を購入し、安いときには多い口数を購入していくことになります。

 こうすることで、一度にまとめて購入する場合や、毎回一定口数を購入する場合より、平均の購入単価を平準化することができます。その結果、長期的に見ると価格変動のリスクを軽減する効果が期待できます。

【ミドル&シニアのための“超王道”投資術】 第1回 横山先生、50代・60代が老後資金をつくるのに王道の投資術を教えてください出所:金融庁「つみたてNISA早わかりガイド」
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 また、投資というと、値下がり時に購入して値上がりしたらすぐに売却するような短期売買をイメージする人もいるかもしれません。しかし、投資信託で積み立て投資をする場合には、長期での投資が前提となります。

 なぜなら、世界経済は長期的に見ると必ず成長するからです。下図を見ると2008年のリーマンショックや20年のコロナ禍の際に株価は大暴落しましたが、そうした危機のたびに、世界経済は必ず復活しています。大きな値下がり局面がやって来ると、積み立て投資を途中でやめてしまう人も少なくありませんが、そこを耐え忍んで、じっと待つことでその先に道が開けてくるのです。

【ミドル&シニアのための“超王道”投資術】 第1回 横山先生、50代・60代が老後資金をつくるのに王道の投資術を教えてください出所:MSCI世界株価指数
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――「長期・積み立て・分散」ですか。しかし、それでしたら、積み立てでチマチマと資産を積み増していくより、値下がりしたときに、まとめて投資するのが良いようにも思うのですが?

 最後に忘れてならないのが複利の力です。かの天才物理学者、アルベルト・アインシュタインは「複利は人類最大の発明だ」という言葉を残したとされています。

 長期投資にはさまざまなメリットがありますが、最大のメリットといえるのが複利効果です。複利効果とは、配当などで得た利益を再投資することで得られる利息効果のことで、利益分を元本に組み込むことで資産を雪だるま式に大きくしていくことも可能です。また、長期投資にはリスクを軽減する効果もあります。

 下図は、複利投資で「長期・積み立て・分散」投資をしたシミュレーション例で、02年から20年にかけて主な株式指数に毎月1万円を積み立て投資した場合の結果を示したものです。これを見ると、日経平均に投資した場合には20年間で積み立て額240万円に対して263万円、全世界株式(MSCIオール)に投資した場合では384万円のリターンが出ていることが分かります。このように「長期・積み立て・分散」の王道に従って投資信託の積み立て投資を行えば、資産は右肩上がりで増えていくことが見込めるのです。

【ミドル&シニアのための“超王道”投資術】 第1回 横山先生、50代・60代が老後資金をつくるのに王道の投資術を教えてください出所:つみたてNISA早わかりガイドブック
Bloombergを基に金融庁作成(期間)2001年1月~2020年12月
※株価指数に直接投資することはできません。データは投資コスト、税金などを考慮していません。※これは過去の実績を基にした算出結果であり、将来の投資成果を予測・保証するものではありません
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