半世紀の時の流れを経て
ゲームのネガキャンが下火に

 ここまでお話ししてきたような、ゲームの良い効果については、なんとなく想像してはいても、「確固たる証拠が得られない」というイメージを持っている方が多いかもしれません。

 そのため、今も不安になりながらゲームをしている人や、そんな子どもたちを見守る親御さんも少なくないと思います。

 それだけに、筆者は、実際に確認されてきたさまざまなポジティブ面を明らかにしようと思ったわけです。

 例えばアメリカでは、ゲームについての書籍がたくさん出ています。『ゲームの心理学』『良いゲームの習慣』『ゲームとの付き合い方』など、数多くの本があります。

 印象的なのは、「ゲームが悪い」「ゲームに問題がある」と断定するようなものが近年だいぶ減ってきたということです。

 もちろんゲームにはやり過ぎなど心配なところもあるけれど、いろんな良いところがあるというメッセージが目立ち始めてきています。

 そうしたゲームのポジティブ面が研究結果として出てきたのは、大まかに言って、1990年代からのことです。

 それよりだいぶ前からゲームは大流行していました。ゲームセンターなどにあったアーケードゲームは1970年代にヒット、任天堂のファミコンなどで、お茶の間にテレビゲームが現れたのが1980年代前半のこと。

 当初はやはり、ゲームのネガティブ面を心配するネガティブキャンペーンが張られていました。

 それから10年ほど経て次第に研究が進み、「あれ? ポジティブ面がいろいろあるぞ」という結果が出てくるようになった。

 そして今、当初あったゲームのネガキャンが下火になってきている。約50年。半世紀ほどの時の流れを経て、ゲームの効果の本質がようやく認知されるようになってきたのです。

ボーっとしている時間が
クリエイティブ脳には必要

 そこでやっぱり問題になるのが、バランスを上手に保ってゲームやスマホと付き合っていくこと。

 それが簡単にできればいいのだが、やはりゲームは楽しくて、熱中しやすくて、やり過ぎてしまいがち。

 まず、現代社会に住む私たちは、脳の認知能力を稼働させていつも集中することばかりしがちだ、という認識は持っておいた方がいいでしょう。

 特に日本では、「スキマ時間」をどうやって埋めるのか、という発想が強過ぎる気がします。最近そういう論調も増えてきましたよね。