電車の中でもスマホを見ていたり、ゲームをやっている人も多い。何もしていないと暇でつまらないのも共感できますが、常に脳を動かそうとしてしまう。

 ただそれは、必ずしも正解ではありません。ボーッとしながら「頭を使っていない」と思う時でも、実は私たちの脳は働いています。物事を考えたり集中したりしている時とはまた違う、脳の別の部分がフル稼働しているのです。

 しかも、そうした頭の「アイドリング状態」の時に働いている脳の部分が、非常に重要な働きをしていることがわかってきました。

 例えば、クリエイティブに考えたりする脳の力は、その部分をいかにうまく動かせるかにかかっていたりするのです。

 だから、ボーッとする時間がないということは、使うべき脳の一部を使っていないことになる。その結果、クリエイティブな思考など、現代に重要な力を身につけ損なっていることになってしまいます。

IT企業のトップパフォーマーは
52分やって17分休憩していた

 ですから、大人も子どもも、ボーッとする時間は意識的に作った方がいい。しっかり休憩すること、何もしない時間、もっと言えば、あえて「つまらない時間」を作るのが大事なのです。

 そしてそれには、休憩が欠かせない。回り続ける脳をクールダウンする時間が必要なのです。

 では、どれだけ集中して、どれだけ休憩するのが望ましいか。

 これまでに、いろいろな研究が報告されていますが、おおよそどの研究を見ても、30分から2時間くらい集中したあと、10分から30分くらいの休憩を取るのがベストであるとしています。

 例えば、あるアメリカのIT会社の調査では、「52分やって17分休憩」などと具体的な数字が示されました。これは、とあるIT企業のトップパフォーマー10%を集めて、その人たちのオンとオフの配分をデバイスによって追跡した平均値だということです。

 いかがでしょう。何事もぶっ通しでやり過ぎてはいいことはない。それを実感していただけるのではないでしょうか。

 ゲームは本来楽しいものなのに、「やっぱりゲームは良くない」「本来ならば本を読んだり、何か自分のためになることをやった方がいい」と思いながらゲームをやっている人たちがまだまだいます。

 しかし、改めて知ってほしいのは、必ずしも罪悪感を持たなくていいということです。

 ゲームには良い効能もあるのだ、ということ。スマホやゲームの、ネガティブキャンペーンに触れても、「本当に怖い。でもやめられない。どうしよう」などとむやみに悩まなくていいのです。