『島耕作』の弘兼憲史と高田純次、70代オヤジが考える「俺たちはどう生きるか」弘兼憲史氏(右)と高田純次氏 Photo:DIAMOND

『島耕作』シリーズや『黄昏流星群』などで知られる漫画家・弘兼憲史氏が、街で集めた中高年の切実な声、悩みについてゲストと答えていくラジオ番組『弘兼憲史の“俺たちはどう生きるか”』。3月24日午前8時05分~の放送回にゲスト出演する、高田純次氏との特別対談をお届けする。活躍を続ける70代の2人に、中高年の悩みについて話を聞いた。(ダイヤモンド編集部)

悩める中高年と考える
「俺たちは第二の人生をどう生きるか」

――お二人が耳にする中高年の悩みを分析して総括すると、ポイントはどのあたりにあるでしょうか?

弘兼憲史 まずは健康ですね。

高田純次 そうだね、やっぱり健康じゃないと何事も始まらないよ。

弘兼 中高年になると物忘れとか当然あると思うんですけど、それよりまずね、尿漏れするようになる。これがショックなんですね。年を取ると、急激に尿意に襲われるようになる。ちょっとモタモタしてると、うっかり下着を汚すというね。「ああ、ついに俺もこうなったか」っていうショックがあります。僕の周りの同世代に聞いてみると、同じことを言っている。

高田 僕の場合、まずは朝起きられるかどうかが大事。何しろたくさん歩かなくちゃいけない時もありますから。弘兼先生は、漫画を描いて手や脳を動かしているじゃないですか。やっぱり人間、動くのが大事ですよね。

弘兼 僕が朝起きて最初にするのがストレッチ。ベッドからすぐには降りないで、手や足をぐーんと伸ばします。こないだ同世代でプロレスラーの藤波辰爾さん(1953年生まれ)と話したんだけど、彼も目が覚めたらベッドに寝たまま5分くらいストレッチしてるって言っていましたよ。

高田 毎日ちょこちょこ動かないとね。僕なんか足がつっちゃうから、夜は寝る前に水を飲むのが欠かせない。

――中高年男性といえばおカネや家族の悩みも多いものですが、昭和~平成~令和と時代が変化するのに合わせて中高年の悩みも変化していると思いますか。

高田 今って圧倒的にモノが増えたましたよね。

弘兼 スマートフォンを誰もが持つようになったのは大きな革命ですよね。昭和~平成初期は公衆電話あるいはポケベルで連絡していたけど、今はスマホがあれば世界中で会話できる。そんな時代が来るとは思わなかったですよ。漫画を描くときに、昔だったら固定電話の電話口で人がしゃべるような描写があったけど、今はそれもない。

 昭和~平成~令和っていうけど、僕らは時の流れと一緒に年を取っているわけだから、日々の感じ方は当然違いますし、インターネットの出現で世界は大きく変わった。だから悩み事も変わっている面もあるでしょう。

 ただ、変わっているんだけど、変わらないところもある。昭和では若かったけど、令和ではもうこんなジジイ。だけど、心の内面というか精神は、中学2年生の時とあまり変わってない。

高田 うん、そうですね。変わってない。

弘兼 確実に衰えてはいるけれど、今でも笑うネタは同じだったりしますね。

高田 昭和の時代ってさ、みんな目2つ、鼻1つ、口1つ。今だってみんな同じじゃない? ただまあ、着るものが斬新になったというか選択肢が広がりましたよね。

弘兼 僕らの時代、アイビールックが一大ブームになりましたね。僕は大学進学で田舎から上京して、アイビールックで初めてオシャレを知った。

高田 アメリカンなスタイルに憧れたなあ。そういうブームになる前は、みんな父親のお古の洋服を着ていたんだよね。