就職の良し悪しばかりを気にする大学選びは、人間を窮屈にさせる。しかし、今の時代、そこは関係ないと目をつぶることもできないのは事実だろう。そこで、今回から一番気になる「就職問題」を3回にわたってご紹介していこう。

受験生が知りたい基本のき 1
「浪人すると就職に不利なのか?」

 一般企業のサラリーマンになる場合は、一浪ならまったく関係なく、二浪だと面接でときたま「どうして?」と聞かれる程度と考えてよい。
 三浪以上になると、年齢制限で応募できなくなる会社が急に増えてくる。
 公務員就職の場合は、各組織によって差はあるものの、年齢制限がゆるい。

 惰性や必要以上のこだわりで浪人を重ねることは避けたいものだが、もし結果的にそうなってしまっても、「そんなことより、人柄とやる気を重視する」組織はけっこうある。

 要は、浪人経験でいかに成長したかが大事なのである。

受験生が知りたい基本のき 2
「学部や学科で就職は決まるか?」

 まずは文学部。東大京大一橋大などの超難関国立大とごく一部の私立大生以外、ときの景気に大きく左右される。そんななかで、どうやら文学部卒では話にならないらしい、だからつぶしのきく法学、経済・経営学系を選ぶべき、という発想も現実的ではある。
 だが、もう少し具体的に考えると、文学部卒を嫌う業界は金融、商社といったあたりで、メーカーの場合はさほどでもなく、マスコミ業界では関係ない。もし、「やりたい文学部系の勉強があるのだけれども、やっぱり就職が……」という場合なら、その志望学部・学科で学べる内容をしっかりチェックしたうえで、「やりたいこと」を優先する選択をすすめたい。

 文学部以外の文系の場合、学部・学科と就職先との関係は、ほとんど気にしなくてもかまわない。
 理系卒で技術者になる場合は直結することが多いが、これとて専門とはまったく別の分野へ進む学生も必ずいる。就職選択の自由は個人の意志の中にあるのだ。

 また、大学や研究所の研究者とか国連関係の仕事とか、ちょっと変わった専門職に就きたい場合は、実際にそこで働いている人々の著作などで、大学名や学部学科名を調べてみるといい。同じ道をたどらなければいけないわけではないけど、「この人のあとに続くぞ!」と目標にすれば、受験勉強のやる気も倍増するだろう。
 あるいは、同じ将来の希望者が多そうな学部・学科を選び、キャンパス内で前向きな刺激を得るという発想もナイスだろう。その程度に考えればいいのだ。