高成長&高年収!半導体160社図鑑#11Photo:JIJI、写真提供:キオクシア

キオクシアホールディングスが米ウエスタンデジタルとの統合のチャンスを探り続けている。だが、その交渉は過去2度にわたって頓挫した。そもそも両社の統合は実現するのか。実はそこには最大出資者の韓国企業だけではなく、中国政府の思惑という複雑な事情が絡んでくる。特集『高成長&高年収! 半導体160社図鑑』の#11で、3度目の交渉に立ちはだかるハードルを明らかにすると共に、混とんとするメモリー再編の行方を追う。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

紆余曲折のキオクシア
NAND成長シナリオに暗雲も

「われわれには合併しかない」──。NAND型フラッシュメモリー世界大手のキオクシアホールディングスの早坂伸夫社長は、米ウエスタンデジタル(WD)との統合に意欲を見せ続けているという。

 キオクシアは当初目指していた新規株式公開(IPO)を中止して以来、組織の在り方をめぐり紆余曲折を続けている。

 すでにメモリー不況の長期化で赤字が続き、単独でのIPOは難しくなった。その打開策として摸索し続けているのが、同業であるWDとの統合だ。

 だが、その実現には、大きな障壁として、韓国企業と中国政府の思惑が立ちはだかっており、先行きは不透明だ。

 一方で足元では、スマートフォン向けのメモリー需要で市場拡大を続けてきたNANDについて、成長ストーリーに暗雲が漂い始めている。

 代わりに急成長しているのが、AI半導体の高性能化に欠かせないDRAMの「HBM(広帯域メモリー)」だ。米エヌビディアのAI半導体向けに、韓国SKハイニックスが出荷を急増させている。

 目まぐるしく市場環境が変化する中で、メモリー再編はどこに向かうのか。

 次ページでは、キオクシアとWDの統合の実現を阻む3つのハードルを明らかにすると共に、DRAMを持たないキオクシアに浮上している新たな再編シナリオの行方を探る。