(1)の戦略は都心部向き、(2)の戦略は全エリア向きの戦略ともいえるかもしれません。単身者向け物件の場合とファミリー向け物件の場合を比較しながら、説明していきましょう。

戦略(1)「投資的観点」と「実需的(住まい的)観点」を
兼ねている物件を買う

「投資的観点」とは、金銭的なメリットに魅力を感じて買うという発想です。生涯支払う家賃に比べると安く済むかもしれない、完済した物件に資産性が期待できるかもしれない、といったお金の面での優位性を期待するものです。

 一方、「実需的観点」とは、購入することで快適な環境に住めることや、確立された居場所を作れること、自分好みの設備など、居住性の向上を期待して買うことです。

 この2つの観点によって、実は不動産の市場も「投資」と「実需」の2つに分かれています。「投資」は物件を購入して賃貸に出すなどして利益を得ることを目的とした市場、「実需」は実際に自分が住むための物件を探している人たちの市場です。

 通常、それぞれの市場は物件の検索サイトなども分かれていて、物件のラインアップもローン商品も違います。また、同じ物件を売却する場合でも、「実需」に比べて「投資」の市場のほうが値段が低くなる傾向にあるなど、相場も違います。

「投資的観点」で重視されるのは、駅近に代表されるような「立地」です。とにかく立地を重視するのが正攻法のため、「広さ」の優先順位は下がります。

 ファミリー向け物件でも立地重視で選ぶことはできますが、どうしてもある程度の広さは必要なため、物件価格がかなり高くなっても立地を重視するかいう判断が必要になってきます。

 それに対し、単身者向け物件の場合、自分が満足できる広さであれば、とにかく立地を重視した物件選びがしやすいといえます。広さが抑えられる分、物件価格も手が届く範囲に収まりやすいでしょう。

 自分が満足する立地と広さは、次の買い手や借り手も満足できる可能性が高く、いざとなったら売却するという選択肢も増えます。そう考えると、大きな買い物をしても、将来のお金の不安に備えることにつながると思いませんか。