「賃上げできなければ“選択されない”会社になる」JR貨物労組の委員長が吐露JR貨物労組の高木康之委員長 写真提供:カーゴニュース

「2024年問題」や環境問題など、JR貨物を取り巻く外部環境は期待に満ちあふれている。しかし、赤字経営が続くなど同社を取り巻く現状は厳しく、期待と実態との乖離(かいり)が目立つ。JR貨物労組の高木康之委員長(高の文字は正しくは“はしごだか)に、JR貨物の経営面や新人事制度の課題、24春闘の方針や結果についてインタビューした。(カーゴニュース編集長 西村旦)

*本記事はカーゴニュースからの転載です。

赤字決算が続くことに危機感

――輸送実績や業績などJR貨物の現状を、労働組合としてどのように見ていらっしゃいますか。

 今期(2023年度)の輸送動向を見ると、自然災害や物価上昇による買い控え、さらにはエネルギー価格や原材料価格の高騰などの影響によって、輸送量は厳しい状況が続いています。その結果、23年度当初の計画からは大きな乖離が生じ、年度トータルでは対前年を割っているのが実状です。また、品目的には化学工業品や化学薬品、紙・パルプなどの原材料系の減送が目立っています。

 その一方、「2024年問題」の関係で荷主からの引き合いや問い合わせは徐々に増えており、足元では日によって対前年を超える日も増えるなど、少しずつ改善傾向がうかがえます。

 ここ数年を振り返ると、コロナ禍が続いてきたこともあって、年度初に立てた計画を達成できない状況が続いています。23年度については5月にコロナが5類に移行し、その影響自体は小さくなりましたが、電力料金の値上げなどが響き、単体ベースでは3期連続での赤字決算となることがほぼ確実な情勢です。自然災害が頻発し、さらには物価上昇など先行きの見通しがつかない中で計画を達成することは困難だとは思います。しかし、3期連続で赤字が続くことについては率直に危機感を感じています。