フォロー研修の最後は、アクションプランの作成

 研修も最終盤を迎えた。課題は、「強み中心のアプローチ」――「強み中心のアプローチ」は、生産性や業績に影響を与えると報告されているという。

「『(自分の)強み』は、実感していない人が意外と多いものです。しっかり認識して、伸ばしていきましょう」と、内山講師。「強みを伸ばす3つのアプローチ」について学んだ後、今日のグループワークから感じた「自分とメンバーの強み」をそれぞれが考えることになった。まず、グループ内の自分以外のメンバー一人ひとりにキャッチフレーズをつけるワークだ。内山講師が「例えば、『○○さんは、アイデアの宝石箱』のようなフレーズです。できれば、本人が気づいていないような『良さ』に着目しましょう」と説明する。付箋には、記入者である自分の名前を書き、相手の名前は書かず、それが誰のことを指すのかをみんなで当てるという。キャッチフレーズを瞬時に考えるのは難しいのではないかと私は思ったが、受講者たちはスラスラとペンを走らせていた。

 次に、自分の「強み」と「良さ」を考える。「この研修で発揮したと感じるもの、日々使っているもの、あるいは使えずにいるものを書き出してみましょう」と、内山講師が促していく。

 それから、キャッチフレーズの共有時間になった。一人ずつ順番に、自分が書いた付箋を並べていき、他のメンバーが「いっせーの、せ!」で誰に向けて書いたものかを当てる。当たってうれしそうな顔もあれば、「全然分からない」と悔しがる声もあり、ゲーム感覚のワークに、受講者たちは大いに盛り上がった。メンバーが指摘してくれた、自分が気づいていない「(自分の)良さ」をどう生かすか……それを考えていくことが仕事での成長につながるのだろう。

 研修プログラムの最後は、アクションプランの作成だった。これまでのフォロー研修でたびたび言及されてきた「なって良かった自分」になるためのプランをつくっていく。

 そうして、研修を終えるにあたって感じていることを一人ずつ軽く話す「チェックアウト」を経て、第3回のフォロー研修はすべて終了となった。

 改めて、内山講師に研修を振り返ってもらった。

「最初はとても静かでしたが、新入社員同士で話し始めたら、コミュニケーションの機会を待ち望んでいたかのように、自然に対話が弾んでいきました。私は、話す材料を渡しただけで、特に何も仕向けていません。個人で取り組むワークの集中力も高かったですね。みんなの学習意欲が高く、研修をかなり好意的に受け止めていると感じました」(内山講師)

 解散後も、多くの受講者たちはその場に残り、名刺交換をしたりしながら言葉を交わしていた。内山講師はその光景を見て、「1年間の経験を踏まえて、異業種の人と語り合いたい、刺激を受けたいという気持ちがあるのでしょう。経験してきたからこそ話すことがあって、対話の中で自分の考えがさらにまとまり、仕事に対して前向きになっていくはずです」と語った。

「日々の仕事の中では、理不尽なことやコントロールできないこともあります。その中で、自分がコントロールできることを焦点化し、『なって良かった自分』を目指してほしいです」(内山講師)

 フォロー研修を通して、多くの学びを得た新入社員たちは、それぞれの職場で2年目を迎え、力を増していくことだろう。彼ら彼女たちの背中を見送りながら、私はそう思った。

 

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