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岸博幸のクリエイティブ国富論

ビッグデータは本当に日本の課題を解決できるか?

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第223回】 2013年4月5日
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 3月28日に官邸で高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)が開催され、6月の成長戦略に取り込むべく新たなIT戦略を5月に策定することが決まりました。IT政策はイノベーションや経済成長の促進のために必要不可欠ですので、それ自体は正しいのですが、そこで配布された資料を見ると、また政府はIT分野での流行に悪乗りしているように見えます。

ビッグデータは改革に結びつかない

当日の配布資料を見てみましょう。この資料の5、6ページはかなり問題があると言わざるを得ません。

 ちなみに、そこには“産業競争力会議で特定された4つの課題”とありますが、これは明らかに嘘です。正確には“経産省の官僚が産業競争力会議にオーソライズさせたい4つの成長分野”であり、議事録を見る限り明確に議論されていませんし、民間議員の側が了承したことにもなっていません。

 それはともかく、それ以上に問題なのは、それらの4つの課題の解決に当たっては“データの活用が鍵”であり、“データの収集(蓄積)/見える化/共有/連携/分析を可能とするシステムや仕組みづくりが必要”と主張していることです。こうした表現をする背景は、間違いなく“ビッグデータ”という最近のIT分野での流行を意識してのことでしょう。

 もちろん、ビッグデータの活用は情報分析の観点から不可欠です。しかし、ビッグデータは所詮、ネット上で利用可能なデータの相関関係を分析することで有為なインプリケーションを導きだす作業に他なりません。それは言葉を変えて言えば、今ある現状の市場や制度などを所与のものとして、その中での最適解を導きだしているに過ぎないのです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

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