粉飾決算事件からの立ち直りを目指すオリンパス。屋台骨の医療事業は好調な一方で、課題は3年連続で赤字を垂れ流すデジタルカメラ中心の映像事業だ。どこに問題があるのか。

「このカメラはどう使うの?」

 1月31日、横浜市のパシフィコ横浜。アジア最大級のカメラ見本市「CP+」の初日の会場で、オリンパスの笹宏行社長は一般客に交じってライバルメーカーのブースを回っていた。

 他社のデジタルカメラを自ら手に取り、シャッターを切る。説明員の話に耳を傾けながら、使い心地を試す目付きは真剣そのもの。主要メーカーのブースを一通り回った後は、日本カメラ博物館が並べた歴代の名機を食い入るように見つめ、会場を後にした。

「笹社長がカメラの展示会に足を運ぶのは社長就任後、初めて。しかも、訪問は当日突然決まった」(同社幹部)。あわただしいスケジュールを組んでまで、社長自ら足を運ばざるを得なかった背景に、赤字続きの映像事業への危機感があることは想像に難くない。

 その約2週間後、2月12日に開かれた第3四半期決算発表会。オリンパスは2012年度の通期業績見通しについて、売上高を170億円、営業利益を30億円下方修正した。問題はその中身だ。

 事業別で見ると、主力の内視鏡をはじめとする医療事業は実は好調だった。欧米で12年4月に発売した内視鏡の最新機種の販売増や、円安が後押し。医療事業単体の見通しは売上高で120億円、営業利益で90億円と、いずれも上方修正だったのだ。

 医療事業の上積み分を食い尽くした最大の要因は、デジタルカメラを中心とする映像事業の下振れだ。通期の販売台数は、昨年11月に90万台下方修正した目標の730万台から620万台へと2度目の下方修正。これに伴い売上高190億円、営業利益80億円とそれぞれ下方修正した。

 オリンパスの売上高のうち、映像事業の割合は15%程度にすぎない(図(1))。ここが、売上高で過半を占め高収益の医療事業の足を引っ張っているのが現状なのだ。映像事業の赤字は3年連続となる見通しで、悪化の一途をたどっている。例年20%前後の営業利益率を達成する医療事業と比べると、“お荷物”であることは否定できず「喫緊かつ重要な経営課題」(竹内康雄専務)なのが現状だ。