各地でハラスメント条例が制定されていることを報じた記事「議員からのパワハラを撲滅せよ 『ハラスメント防止条例』導入した自治体に変化はあった?」(2024年3月1日/弁護士ドットコムニュース)でも、「条例が生まれた背景には、一般市民から職員に対するハラスメントだけでなく、議員から職員に対してもパワハラなどの深刻なハラスメントがやまない問題がある」と言及されている。近年になって被害の可視化があり、対策に乗り出した自治体が多いということなのだろう。

「裸の王様」は退場いただく時代に
我が町はどうだろうか?

 地域差もあるだろうから一概には言えないものの、行政機関は民間と比べると「お堅い」イメージがある。また上下関係や慣習が厳しく、慣習で決まっていることに異を唱えづらい雰囲気もあるようだ。

 その中でもやはり特に耳にするのが、議員と職員の力関係であり、古参の議員であればあるほど、職員は従わざるを得ない。地方議会は10年、20年と長く続ける議員も多く、若手、新人の職員は軽んじられがちだ。

 池田町町長は辞任にあたり「裸の王様だった」と自戒したというが、職員が自由闊達にものを言えない空気が、各地に「裸の王様」がいる理由なのではないか。

 パワハラ・セクハラや、上司からの威圧的言動に対する世間一般の意識は高まっており、昔のように「厳しい指導をありがたく受け取る」時代ではない。職員の意識との乖離があるとすれば、それは議員や首長側に問題があるのであり、威張る・恫喝する・揶揄うといった態度で周囲を従わせようとするやり方はもう通用しない。

 鍵となるのは中堅や古参の職員たちが、どれだけ議員らからのハラスメントに立ち向かえるかなのだろう。町長たちの相次ぐ辞職や引退を見て、我が町はどうかを考えたい。