乗客は1日13人…JR西が困り果てる「赤字ローカル線」1ミリも譲らない地元自治体の言い分とは?再構築協議会の様子。なお、知事・市長はすべて不参加、副知事レベルでの対応だった Photo by W.M.

第1号がJR芸備線となった最大の原因は
「自治体が肝心な対話を拒否した」から

 再構築協議会の適用第1号が芸備線となった最大の原因は、極度に不振な営業成績だ。最も客数が少ない区間では1日平均13人(1日3往復、1便当たり2人強)、対象の備後庄原駅~備中神代駅間では、実に7億円もの単年赤字を出している。なお、100円の営業収入を稼ぐための費用(営業係数)は、一部区間で1万5516円に上る(20~22年平均)。

 次の要因は、地元自治体(広島県庄原市、岡山県新見市)の姿勢にある。JR西日本は21年に「芸備線存続の前提を設けない協議」を沿線地域に申し入れ、任意での協議を何度か行ったものの、自治体側が「今後は利用促進以外の協議を行わない」(存続・廃止に関わる協議を排除する)という方針を示した。困り果てたJR西日本は議論の場を作るべく、再構築協議会の設置を国に要請するに至ったのだ。

 なお、再構築協議会は法的協議会であり、これまでと違って参加応諾義務が生じる。芸備線が再構築協議会の対象となった経緯をまとめると、「自治体が肝心な対話を拒否したため、話し合いのテーブルに強制的に着くことになった」というわけだ。