ドナルド・トランプ前米大統領は通商政策についてのコンセンサスを根本的に書き換え、ジョー・バイデン現大統領はそれをほぼ踏襲せざるを得なかった。国内の製造業を優先して通商協定の優先順位を下げ、世界貿易機関(WTO)を脇に追いやり、関税を活用したのだ。
トランプ氏自身以外でコンセンサスの変更に最も尽力したのは、トランプ政権で米通商代表部(USTR)代表を務めたロバート・ライトハイザー氏だ。ライトハイザー氏には、やりかけの仕事がある。同氏は昨年刊行した書籍や最近のインタビューで、世界貿易に一層大きな変化をもたらす政策課題について語っている。
政策変更にもかかわらず、2016年以降も世界貿易の不均衡は続いている。その顕著な例が米国の貿易赤字と中国の貿易黒字だ。ライトハイザー氏はこれらの不均衡を関税や、恐らく資本規制といった他の手段によって解消することを、米通商政策の主要目標にすべきだと考えている。