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加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

【新連載】なぜ、いま“中国民主化研究”なのか?
揺れる巨人を検証する上で依拠すべきこと

加藤嘉一
【第1回】 2013年4月9日
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“ジャパン”の背後に
ちらつく中国という影

 2012年8月、約10年間過ごした中国を離れ、アメリカはボストン、ハーバード大学に拠点を移した。ボストンはグローバルな意義における「発信の場」であり、ハーバード大学だけでなく、マサチュッセツ工科大学(MIT)やタフツ大学フレッチャースクール、ボストン大学、ボストンカレッジなど、国際関係や東アジア問題に関する学術的議論を展開するには、何物にも代えがたい場所であることを現場で感じてきた。

 私自身、「激動」というにふさわしい北京での格闘の日々とは一味違った、良くも悪くも「落ち着いた」時間を過ごせている。研究、議論、執筆の三本に集中できることは嬉しい限りだし、人間、環境を変えてみることによって、初めて会得できることがあるものだと改めて感じている。

 場所は変わっても、私の周囲では「中国」は常に議論の中心であり続けた。

 ハーバードのキャンパス内で、ボストンを拠点に活動する研究者と日々意見交換をしているが、話し相手が日本人である私であっても、「日本」が話題に上ることはほとんどない。終始「中国はいま……」、「中国はこれから……」、「中国はなぜ……」、「中国はどのように……」という議論が繰り広げられる。

 時々、日本の政権や政策に関する質問を受けるが、その際も「日本はなぜ尖閣問題で中国ともめるのか」、「安倍政権になって以来“日本の右傾化”が叫ばれているが、中国との関係が更に悪化するのではないのか?」、「アベノミクスによって、日本の経済的地位は中国に比べて向上するのだろうか?」など、常に背後には「中国」という影がちらついている。

 中国に関するパネルディスカッションやセミナーは後を絶たない。ハーバード大学の学生でも中国語学習は大人気であり、ケネディースクール(公共政策大学院)、ビジネススクール、ロースクール(法科大学院)で学ぶ各国の知り合いも学部生向けの中国語科目を受講している。「キャリアアップを考えるうえで、中国語の習得は間違いなくプラスに働くから」というのが受講理由であるようだ。

 研究者・専門家との議論だけでなく、中国・中国人・中国語を巡るパッションを体で感じるだけでも、私が日本を離れてから10年間向き合ってきた“中国・中国人”というテーマを、改めて掘り起こす勇気と好奇心が湧いてくる。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

21世紀最大の“謎”ともいえる中国の台頭。そして、そこに内包される民主化とは――。本連載では、私たちが陥りがちな中国の民主化に対して抱く“希望的観測”や“制度的優越感”を可能な限り排除し、「そもそも中国が民主化するとはどういうことなのか?」という根本的難題、或いは定義の部分に向き合うために、不可欠だと思われるパズルのピースを提示していく。また、中国・中国人が“いま”から“これから”へと自らを運営していくうえで向き合わざるを得ないであろうリスク、克服しなければならないであろう課題、乗り越えなければならないであろう歴史観などを検証していく。さらに、最近本格的に発足した習近平・李克強政権の行方や、中国共産党の在り方そのものにも光を当てていく。なお、本連載は中国が民主化することを前提に進められるものでもなければ、民主化へ向けたロードマップを具体的に提示するものではない。

「加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ」

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